第4話
論理的に考えよう。
私は家事をこなして、椅子に座り、「我が家、幸せ計画」とタイトルを書いて、計画書を作成していた。
「論理的じゃないと、たくやが納得しないんだから」
昔は甘えたら、任せろと二つ返事でしてくれた、たくや。
けれど、今は大事な時期らしく、仕事のことでさらにいっぱいになっていて、家庭のことに割く時間はほとんどない。まぁ、そのための専業主婦の私が家庭に時間を割いて、仕事をせずにいるという訳なのだが。
私は鉛筆を動かしていく。
Q1.なぜ、私はちゃんとできないのか。
A1.仕事をしていないから・・・・・・?
ああ、答えでクエッションなんか使ったら、「質問に質問を返すな」ってまたたくやに怒られる。
「っていいのよ、これはたたき台なんだから」
恐怖に支配されている自分が嫌だ。こんなんじゃ、りくだって怒られないようにすするにはっていうネガティブ思考の子になっちゃう・・・・・・。
よく考えろ、よく考えるんだ。
何分経った?
5分? 10分?
もし、アイディアが浮かばなかったら、今やっているこれは無意味なこと、生産的じゃないこと・・・・・・になっちゃう。そうすれば、たくやが無駄なことやっている暇があったら、やるべきことをやれって言うに違いな・・・。
「これが一般事務と商品開発の軋轢か・・・なんちゃって」
私は立ち上がり、ストレッチをしながら意図的に笑った。首の当たりが特に張っているな。ストレッチを終えて、私は再び席に着いて、鉛筆を持ち、とりあえず、思ったことをどんどん書いて行こうと決めた。
昨日の原因。天気=この頃雨、昨日は晴。前の日、りくの夜泣き、おねしょ・・・
「私の仕事は天気とまだ幼いりくの機嫌によって作業が変動してるよね・・・」
りくはいい子だ。けれど、あの小さな体はちょっとしたことで影響を大きく受けるし、制御もまだ難しい。たくやに相談すれば、それを教育するのが母親の努めなんて言われるかもしれないけれど、無理強いはしたくない。
私は紙に「私次第ではない」と「私次第」のカテゴリーを作り、「天気」と「りく」は「私次第ではない」のところに入れて、「私次第」には「食事作り」や「掃除」、「洗濯」などを入れていく。
そして、どれぐらい時間がかかるかを書き込んでいくと、何もなければ睡眠・食事・入浴・トイレ時間も含めて余裕が10時間くらいあると結論付けた。
「それで、何かがあると・・・・・・」
トイレを我慢し、入浴を我慢し、食事を急いで食べて、睡眠時間を削る。それに加えて、たくやが帰宅後スムーズに食事と入浴を済ませて就寝し、再び気持ちよく出社する・・・・・・。たくやの帰宅時間は日によってまちまち、ご飯がいらない日が急遽あったり・・・・・・。
『仕事ができない奴に限って、時間がないって言うんだよ。時間は作るものだよ』
昔、たくやが言っていた言葉。でも・・・・・・
「絶対、無理だよ・・・・・・たくやの協力無しじゃ・・・」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます