第3話<<紺碧>>②
現在の時刻は七時二二分。
「今年は暑くてたまりませんわ」
春花は舌を出しながら
特に今年は暑く、五月の始まりから26度を超えたり超えなかったりしている。住宅街からもう少し上に行けば涼しくはなるが、二人の
「
「春ちゃん、それは夢見すぎだよ……。都会にだって蝉はいるんじゃないの?」
実際、都会にはクマゼミなどの蝉が沢山いる。それにビルや建物だらけで風は通り抜けにくいし、コンクリートや太陽の熱によって、ここの五割は増して暑いだろう。そんな事情は知らず、適当にボヤくのが彼女らしさでもあるのだが。
「あ、そうだ。春ちゃん夢日記書いてるの?」
「夢日記?」
「この前書くって言ってなかった? 今日はどんな夢見たの?」
牧子は春花と違ってどうでもいい事を覚えるのに長けていた。違って、とは言っても春花の場合は何も覚えようとしないのだが。そんな彼女は『夢』と言う言葉で思い出し、話題を変える為に喋りかけた。
対して、春花はまだ察しがついていない様であった。キョトンとしながら、眉を八の字にし、目は
「あ、忘れてた」
春花は今日二度目の叫び声を上げた。
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