第30話 陽と陰.1
「ん・・んん。」
目を開けると白い天井が見える。
(え・・・。俺いつ寝たんだ?ってかここ何処だ?)
「あら、起きたわね。」
っと声がした方に顔を向けるとそこには何故か闘技場で会ったユナがいた。
「え、え~っと?」
周辺をチラっと見てみたけど、なるほど。
俺が今寝ているベッド・・・。それに白いカーテンにどこか懐かしい独特の匂い。
ここは間違いなく保健室の様だ。
異世界の保健室もこの独特な匂いは同じなんだな。何かホッとする。
俺が一人でウンウンと頷いて納得してるとユナが喋りかけてきた。
「身体は大丈夫?あなた、クラスでの手合わせをしてから教室へ戻る途中で突然倒れたそうよ。」
(へー、俺倒れたんだ・・・ん?)
「え!た、倒れた?!」
(マジか・・・倒れたんかい。全然倒れた感じも意識が遠のく感じもしなかったんだけどな。)
でも何でこの子がここにいるんだ?
も、もしかしてやはり俺に気があるのか・・・。
(・・・・・)
うん・・・。ないな。絶対に。
「大丈夫?まだボーッとしてるみたいだけど。」
「はい。で、でも何でユナさんがここに?」
「私、保健室の実行委員なの。今は保健室の先生が不在中だから私が代理って事でここの管理をさせてもらってるのよ。」
(なるほど。淡い期待をするだけ無駄だったな。待てよ・・・。それよりもまだ14歳の子に代理で管理を任すってヤバくないか?)
「倒れた原因だけど、おそらく魔力切れだと思うわ。よくいるのよ。初めての手合わせで魔力をコントロールできなくて、倒れちゃう人とか。」
「そ、そうなんですか。」
(手合わせするヤツどんだけいるんだこの学園は。あれ?校長は確か特異属性者は潜在魔力が多くなきゃなれないみたいな事を言っていた気がするんだけど・・・。俺の聞き間違いだったか?)
まぁ、俺よりも一年経験してる子が言ってる訳だしいっか。
「もう身体は問題ないから、その机に置いてある魔力薬を飲んで教室に戻りなさい。」
「あ、はい。」
(相変わらずちょっと上から目線だよな。)
見た目が良くても性格に問題がある女性とは間違っても結婚なんてしない方がいいな。
見た目に騙されて、結婚してから後悔する人間って男女共に多いもんなぁ。
だから、結婚は人生の墓場って言うんだろうな。
まぁ、前世で結婚経験がない俺が言えた立場じゃないけどな。
とりあえず俺は机に置いてあった魔力薬と言われた飲み物を飲んで保健室を出た。
(さて、教室に戻るか・・・。)
俺はとりあえず自分のクラスに戻った。
教室に戻ると、他の皆が心配そうに声をかけてきてくれた。
「キョウ君、大丈夫??」
(確かこの子は・・・レイゲン=セナだ。)
ふふん。前世では仕事で人の名前と顔を覚えるのだけは得意だったんだよな。
まさかこんな所で、俺の特技的なものが役に立つとはな。
「皆で教室に戻ろうとした瞬間に急に倒れこむんだから、皆心配してたの。」
「はは、ごめん。俺も何で突然倒れたのか意味が分からないんだよね。」
っと言うと、横からもう一人。
「俺達の年齢であんな強大なスキルなんて発動させるからだ。」
(あ、コイツは確か、ペイル=ヴァンって名前の生徒だったよな。)
それよりも俺の出してたのはスキルになるのか。
改めて思えばそうだよな。
とにかく俺が気になったのはペイル=ヴァンが言った強大なスキルという言葉だ。
俺的には五行紋を発動させて、思いつきで「炎雨」というスキルを発動させたけど、そんなに強大的なスキルでもないと思うんだけどなぁ。
実際あの時点ではそこまで魔力を消費した感じはなかったしな。
「で、でもすごいです。まだ13歳なのにあんなスキルが使えるなんて。あ、あれって中級レベルのスキルですよね。」
(あ、この子はロイ=ペンって子だ。唯一俺と気が合いそうな子だから一番印象的に覚えてるぞ。)
「え、あのスキルって中級レベルなの。」
「し、知らなかったんですか?!」
「う、うん。」
(ん。これはヤバいか?特異属性者だと疑われる可能性があるかもしれん。)
俺は軽率に聞いてしまった感じでちょっと混乱してしまった。
っと、突然そっぽ向いてたエルリス二世・・・おっと。
グロギシア=ラルドが俺の方へ寄ってきた。
「おい、あの勝負は俺の負けだ。認めてやる。お前の主張を受け入れる。」
(おぉ?俺が保健室にいる間に人間が変わったのか??)
っと思ったのは一瞬。
「おい、それよりも聞かせろ!何故学園に入ってきたばかりの野郎があんな中級レベルのスキルを扱えたんだ!」
っと俺の服を掴んで言ってきた。
(この不良っぽい態度は性格なのか?あれだな・・・。エルリス以上エルリス未満って感じだな。)
分かりにくい言い回しだが簡単に言えば、エルリスよりしっかりしてるが、エルリスみたいな荒い性格だと言う事だ。
とりあえずどうしよう。
「実は何となく思いついて出したスキルだから、よく分からないんだよねぇ。」なんて言ったら余計怪しまれて俺が特異属性者だって疑われるかもしれないしなぁ。
(ガラガラ~)
お、ナッグ先生が入ってきたぞ。
「おや、皆どうしたのか?キョウ君にそんなに詰め寄って。」
まぁ、当然の反応だな。
「先生、実は・・・。」
っとセナが先生に説明をし出した。
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