第28話 伝統.2
さて、手合わせという名の勝負が始まっただが。
「覚悟しろよ!クソが!」
っとラルドが荒い口調で俺に言ってきた。
それにしてもとてつもなく口が悪いなぁ。
さっきの主張の時に追加で口の悪さも指摘してきしとくんだった。
将来お前が困るんだぞ。全く。
そんな俺の気持ちは関係ないって感じでグロギシア=ラルドは俺に構わず攻撃態勢って感じだ。
(校長先生にも言われたけど、俺の特異属性を公にする訳にはいかないからなぁ。)
グロギシア=ラルドは魔力を集めているみたいだ。
左手の甲に魔力が集まっているのが見える。
(アイツは、左手の甲に五行紋があるのか。父さんとの手合わせのおかげかな。慣れた訳じゃないけど、初めてじゃない分冷静にいられるな。父さんに感謝だ。)
うん?グロギシア=ラルドの左手の甲の五行紋は黄色か?あの色は・・・雷属性だったか?
だけど、五行紋の色だけで判断していたら危ないかもしれない。
自身の五行属性や身内の五行属性ではなく、全く知らない他人の五行属性だからな。
もしかしたら、他にも属性を持っているかもしれないし、俺みたいに特異属性かもしれないし。
とにかく様子見だな。
「行くぞ!雷球!」
「うわ!」
(めっちゃバチバチしてる塊が飛んできた!)
すぐにグロギシア=ラルドはバチバチと光る頭くらいの大きさの玉を俺目掛けて放ってきた。
父さんの火球よりも速いスピードで俺の方へ来る。
(よし、俺もアイツと同じ雷球ってのを出して相殺そうさいだ。)
っと思って俺は、五行紋に魔力を流した。
「よし!雷球!」
(・・・・・)
(あれ?)
何も発動しない。
え?何で?
ってのんびり考えてる場合じゃない。
グロギシア=ラルドの放った攻撃が俺の目の前まできてるし。
(ドーーン!)
「うわ!!」
ギリギリセーフで何とか避ける事ができた。
「ハハハ!お前、素人かよ!まさかお前自分の属性すら理解してねぇんじゃねぇか?!クソ弱い野郎が!さっさと負けろよ!」
くそ。この口の悪さだけは13歳どころじゃないな。
でも、確かにその通りだ。俺は俺自身の属性をきちんと理解できていない。
が、今は手合わせ中だ。ゆっくり試行錯誤してる余裕はないぞ。
グロギシア=ラルドは続けて五行紋に魔力を流してるな。
(うわ!やばい!)
どう見ても雷属性だろうし、理論的には土属性を発動できればいいんだが・・・。
炎と水は出せた訳だし、とにかくやってみよう。
っと俺はダメ元でやってみる。
(土・・・土・・・土・・・。)
五行紋に魔力を流しながら土属性をイメージする。
けど、やはり出る気配がない。
(これはヤバイぞ。とにかく落ち着いて炎と水の属性で対応するしかないぞ。)
「フーーーッ。」
俺は大きく息を吐き落ち着いて五行紋を開放した。
(この感じは・・・。父さんと手合わせした時と同じ感じだ。)
「オラー!雷球!これで終わりだ!」
「雷にはー・・・炎でどうだ!炎壁!!」
(ボォーーーー!!)
っと、地面から大きな盾の形をした炎の塊が出てきた。
思いつきでやってみたけど、出るもんだな。
まぁ、父さんとの手合わせの時に水の壁みたいなのを出せたから、もしかしてって思ったけどドンピシャだ。
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