第25話 Dクラス.1
(名前を呼ばれて先生の後に着いてきたのはいいが、マジか・・・。)
俺の目が確かなら、看板にDクラスという文字が見える。
正直まぁまぁ驚いた。
だって、校長先生の話的に最低でもBクラスくらいだなって思ってたんだけど。
俺のレベルってそんなに低いんだ。
やっぱり調子に乗って過度な期待をしてしまった俺が悪いな。
同じ年齢の子達よりも前世で大人として生きてきた分、そういう所はダメなんだよなぁ。
とりあえず、変に勘繰らないで認めよう。そして受け入れよう。
クラスの中に入ると、俺を含めて5人の生徒がいる。
皆早いもので、各自好きな席にさっさと着いた。
そして残ったのが一番前の席だ。
(まぁ、どこの世界でもこればかりは同じか。一番前の席って先生の目の前だから普通嫌がるんだよなぁ。)
俺も学校に通ってたくらいの年齢の時はできるだけ一番後ろの席を選んだりしてたもんだ。
居眠りもできない、何かしてると先生にすぐにバレるし。
まぁ、仕方ない。
俺は諦めて一番前の席に座った。
「え~、今日から皆さんの担当をする事になりましたナムル=ナッグと言います。宜しく。」
(ふむ。何だかやけにあっさりとした先生だ。)
それにしても他の5名の生徒達の元気の無い事。
まぁ、順番的に一番下のDクラスに入った訳だし元気がなくなるのも理解できるが。
先生は、それに感づいてなのか、ポジティブな発言をしてきた。
「おやおや?皆元気がないようだね。まぁ、Dクラスになった訳だし気持ちは分かるけどちょっと勘違いをしているようだね。」
「どういう事ですか?」
っと、生徒の一人が先生の言葉に反応した。
「説明ではクラスがS~DまであってDクラスが一番魔力がない生徒と思われがちで、ダメな生徒が集まる場所だと思っているのかもしれないけど、君達はそもそもこの学園の入学試験を突破したんだよね?本当にダメな生徒なら入学試験の時点で不合格になっているよね?」
(お~、確かにそうだ。)
先生の言う通り、本当に魔力の少ない人間が試験を合格なんてできるはずがない。
実際に不合格になっている人間がたくさんいるのだから。
まぁ、なんせ俺を除いて他の生徒はまだまだ子供だな。
先生の言葉でハッとし、キョロキョロとし出してざわつき始めたし。
「そ、そうだ。言う通りだ!」
「そうよ。私達は合格した人間なんだから、魔力が少ないって訳じゃないわ!」
「で、でもそれじゃ、S~Dまであるクラスって一体何なの?」
「そうだ!確かにさっきの説明では魔力の量や強さでクラスが違うって話をしてたじゃねぇか!」
おーおー、突然皆言いたい放題だな。
凄いな。
いや本当に凄いのは元気をなくし委縮(いしゅく)していた生徒達を前向きな発言に持ってきたこのナッグ先生だな。
(きっと心理学とか得意な先生なんだろうな。うん。きっとそうだ。)
っと俺は心の中で思ったのだ。
「うーん、じゃ皆に言い事を一つ教えてあげよう。」
生徒達の目がギラギラと先生の方を見つめる。
「このDクラスに関しては合格ラインギリギリの魔力量の生徒、それに五行属性の強さが通常では測れない生徒、魔力や五行属性ではなく、基本的身体力が多い生徒が集められる事が多いんですよ。決して皆がS~Cのクラスの生徒達に劣っているからこのDクラスになった訳ではないんだよ。」
その言葉を聞いて生徒達が一気に胸を撫でおろす的な感じがものすごく後ろから伝わってきた。
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