第21話 合格.1
「待ってましたよ。」
「ど、どうも。」
俺は今校長室へとやってきた。
最初の五行属性適正試験は保留になったから、そのまま魔力試験と学科を受けてそのままセリア先生に案内されて訪れた感じかな。
だから、俺の合否がどうなってるのかはまだ分からない。
「エンペル=キョウ君。試験お疲れ様です。」
「あ、お疲れ様です。」
「試験が終わったばかりなのに呼び出してしまい申し訳ありませんね。」
「いえ、俺は別に大丈夫ですけど・・・。」
(あ~緊張する。)
いいから、早く用件を言って欲しいんだけどなぁ。そして早くこの場から立ち去りたいな。これはまさに前世なら、会社の権力のある社長なんかに呼ばれてるパターンみたいな感じだよな・・・俺的には。
「あの、試験が終わり次第ここへ来る様に言われましたが、俺何か問題でもあったんでしょうか?」
すると、校長先生はニコっと微笑み首を横に振った。
「いえ、あの五行属性適正試験でのキョウ君の適正は問題ないと思っています。魔晶石が割れるということは一定レベル以上の力があるということです。ただ一つ確認しておきたくて私が個人的にキョウ君と話をしたかったんですよ。」
なるほど。って事は、校長の話的には最初の試験は合格って事だよな。
校長先生は、そのまま会話を続けた。
「私の確認したかった事は一つです。君は、もしかして女神の加護を受けているのではありませんか?」
(女神の加護??なんじゃそりゃ?)
初めて聞く言葉に俺はかなりポカーンとした顔で校長先生を見ていたんだろうな。
校長先生も少し苦笑してるし。
「えーっと、女神の加護って一体何なんですか?」
「女神の加護とはその通り、女神から加護を受けた特殊な人間の事ですよ。女神の加護を受けた人間は一般的な五行属性者とは全く異なる力を何かしら持つと言われています。その力を持つ者達を総して特異属性者と言っています。」
ん?どういう事だ?
女神と言えば思い当たるのはミコトくらいだが、別に普通に五行属性の儀式的な事をしただけだろう。
ミコトも別に女神の加護とか一言も言ってなかったし。
「通常、五行属性を得る儀式では自身で儀式場所を探し、そして女神様像により祝福を受けて五行属性を得る訳なんですが、女神様が直接儀式を受けにきた人間に対して祝福を与える時があります。それは本来の祝福とは異なり、五行属性者を特異属性者へと変化させます。」
(え、マジか。)
俺はふと頭にミコトが俺に口付けをした時の事が頭をよぎった。
ミコトのヤツ、そんな事一言も言ってなかったのに。
この話には妙に納得できる部分がある。
多分だが、本来は俺の五行属性は炎属性か水属性のはずだったが、女神である(この世界の神って言ってたけど)ミコトに口づけをされた事により、俺の五行属性を特異属性に変化したって事なのか??
ミコトはあれでもこの世界の神みたいだし、おそらく知ってて俺に口づけをしたのか?
転生したボーナス的なヤツなのか?
「この学園で現時点で特異属性者はキョウ君を含めて4人しかいません。それだけ重要な存在だということです。まぁ、女神の加護の力を持たなかったとしてもキョウ君の魔力量などを考慮しても余裕で合格ですけど・・・。キョウ君はどうでしょう?」
(おおぉ。サラッと合格宣言された。微妙に嬉しいぞこれ。)
女神の加護のせいなのか、おかげなのかは置いといて合格したのなら断る必要はないよな。結果的に平和に過ごせそうなんだし。よし。
「俺はぜひお願いしたいです。」
「ありがとう。では、改めて言い渡します。私、グロリア=ペンスの名の許もとにエンペル=キョウを合格とし、グロリペンス学園への入学を認める。」
っと、校長が言うと、俺の足元に大きな魔法陣が出てきて、ピカーっと光った。
そしてあまりの眩しさに俺は目をつぶってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます