第20話 試験.3

次はとうとう俺の番だ。

あ~、ちょっと緊張してきたな。この感覚、久々だな。

前世ではいざ面接なんかで面接官と対面すると、緊張しちゃって考えてた事が分からなくなって何回辛い経験をした事か・・・。

とはいえ、今の俺は13歳のピチピチの若い少年だし、大丈夫だろう。

って、若いだけで上手く行くなら人生苦労しないよなぁ・・・ハハ。


「では、エンペル=キョウ。五行紋を開放して、魔力を魔晶石に流すイメージでやってみて。」

(おっと。いかんいかん。集中しないと。)


「はい。」


俺は言われるがまま魔晶石に手を当て、魔力が魔晶石に流れるイメージでやってみた。

(お、水晶の色がだんだん変わってきたぞ。)


だんだん魔晶石の色が変わっていき、透明とうめい色をしていた魔晶石は濁りの無い本当に真っ白な色に変わった。

そして変わった瞬間突然、魔晶石がパリーン!


「うあ!」

「え!」


思わず「うわ!」って大声で叫んじゃったわ。

亀裂が入るって言ってたから、油断してた。まさか魔晶石が割れて粉々になるとか。

つうか、先生も口を開けたまま唖然あぜんとしている様子ですな。

俺はどうしたらいいのか分からないので、とりあえず無言のままセリア先生の方を見てみた。


「ま、魔晶石が粉々に割れるなんて・・・。魔晶石が劣化れっかしていたのかしら。」


初めての出来事だったのか?

思わぬアクシデントに対して、先生もちょっと慌てぎみでどこかに走っていってしまった。

(え、俺どうしたらいいんだ?これはとりあえず待っとけばいいのか?こ、困ったぞ。)


まだ五行属性適正試験を受けてない人間もいるし、かなりザワザワしている。

っと、対応の心配をしてた訳だが先生は5分くらいで校長先生を連れてすぐに戻ってきた。

俺はかなり安心した。

何故なら、この状況で俺の方への視線が思った以上にきつく、何というか場の圧力的な空気がとても重かったからだ。


校長先生は俺が触れた魔晶石の方をジーっと見ながら、俺に言ってきた。

「エンペル=キョウ君ですね。この件に関しては一旦保留にしますので、仮合格ということで次の試験場に移動してそのまま受けて下さい。その後で試験が終わり次第校長室に来て下さい。宜しいですね。」


「え、はい。分かりました。」


全くよく分からんが前世のクセで、つい「分かりました」って言っちゃったけど。

っとまぁ、何故か試験が終わり次第、校長室に来る様に校長先生に言われた俺はとりあえず試験を終わらす事にして次の試験へと移動した。




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