第13話 そしてまたもや
「父さん???」
じーっと俺の事を見つめたまま3分くらい経ってますよ。
前世ならカップラーメンが出来上がってる時間ですよ。
この人はいつまで・・・。
今の俺は間違っても30歳の大人ではなく、13歳の子供であって、そんなじーっと見つめられた状態で大人しくいれる訳がない。
さすがに痺れを切らした俺は父さんの前に立ち言ってやった。
「父さん!いつまで何も言わないでじーっとしてるの!」
そこでやっと父さんはハッとした感じで立っている俺の方を見たんだ。
「あぁ、す、すまん。少し考え事をしていてな。」
(考え事?何を考える必要があるんだ?訳が分からん。)
「キョウ、お前の力はよく分かった。きっとお前なら学園の試験も突破できるはずだ。頑張れよ。」
(な、何だかいつもの父さんじゃない・・・。)
(先程の水の五行、炎の五行での連続での魔力消費・・。連続であれだけの魔力を放ち、全く疲れた様子がない。それだけではなく、水と炎の二つの属性を発動させた。おそらくキョウの本気だったというのは嘘だろう。フフ、我が息子ながら末恐ろしいな。)
父さんは何やら一人でまたブツブツと言ってる。
「帰るか。」
「う、うん。」
俺と父さんは、家に帰った。
家に着くと母さんが食事の用意をして待っててくれた。
その横でエルリスがニヤニヤとしながら、俺の方を見ている。
「あなた、キョウお帰りなさい。」
「父さん、お帰り。」
「あぁ。」
「ただいま、母さん、兄さん。」
そして帰って食卓に座るなり、いきなりエルリスが俺に話かけてきた。
「キョウ、お前如きが父さんの時間を割さいて結果はどうだったんだよ。」
いや、気になるんなら最初から一緒に来ればよかったのに・・・。
「父さんが五行属性の使い方なんかを教えてくれたおかげで、何とかなったよ。」
そう俺が言うと、エルリスは何だか嫌な顔をしている。
「はぁ?お前如きが何とかなった?ハハハ、キョウ嘘言うなよ。それも父さんの前で。」
どうやら、エルリス的には俺が五行属性を全く扱えないと決めつけてる節ふしがあるな。
「エルリス!」
っとそこで、父さんがエルリスに対して声を荒げた。
俺の記憶の中には、父さんがエルリスに対して声を荒げた事なんてなくて、ちょっと驚おどろいてしまった。
エルリスも父さんに荒げた声で呼ばれ、少しビクついてしまい、急に大人しくなった。
まぁ、いつの時代もどの世界でも父親の存在ってのは偉大なんだなぁ。
かくいう俺も前世では、父親ってのは越えたい存在であって同時に逆らえない存在であり、尊敬そんけいもできる存在だったしな。
転生した今では、父親とは思っているが、前世の記憶がある分、父さんを超えたいとか逆らえないってのはないけど、尊敬はしちゃう訳だ。
「エルリス、お前がどれだけキョウを毛嫌いしているのか分からんが、キョウなら学園の試験を何も問題なく通過して入学できると思う。」
「え!と、父さん何言ってるんだよ!五行属性を得たばかりのコイツが俺みたく優秀とでも言う訳!?」
はぁ。エルリスのせいで、せっかく母さんが作ってくれた晩御飯が台無しだ。
「エルリスよ。そこまで納得がいかないなら、明日キョウと手合わせをしてみなさい。キョウが勝てばお前はキョウに対して二度と蔑さげすむ言動、行動はしてはならん。」
それを聞いて、エルリスはまたニヤニヤし出した。
本当にコイツが俺の兄貴だなんてそれだけがこの家の息子として転生した最大の後悔だわ。
「ハハ、この俺がコイツと?別にいいけど一瞬で終わっちゃうかもしれないよ。それでもいいの父さん?」
「かまわん。お前が勝てば、お前の学園での問題は全て不問にするし、お前が今後キョウに対して何を言おうが俺や母さんは口出しをしないと約束しよう。」
それを聞いた母さんは、え!っと少し驚いた表情をしながら父さんに話かけた。
「あなた・・・、エルリスの強さは学園でも十分認められているのよ?それはあまりにもキョウが可哀想だわ。」
(そんなにエルリスは強いのか。)
「かまわん。これはエルリスにとっても、キョウにとってもいい経験になる。立ち合いは俺がする。二人共いいな。」
「分かった。キョウ、明日俺が直々に五行属性が如何なるものか教えてやる!有難く思え!」
っと言うと、エルリスはさっさと自分の部屋へ行ってしまった。
「さぁ、キョウも食事が済んだら早く休みなさい。」
突然の兄弟対決が決まり、俺は少々不安になりながらも食事を済ませ、自分の部屋へ行き、その日は寝る事にした。
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