第12話 父さんとの手合わせ.2

目を開けると、目の前には大きな滝の様に不思議と流れ出てくる門が出現していた。

父さんが放った炎の玉が来ないって事はこの門に当たって消えたってことだよな?


(いや・・・と、言うかこれはどう考えても俺が出したってことになるよな・・・?)

っと俺自身に自問自答しながらも、ちょっと信じれなかったので、一応父さんの様子を窺うかがう事にした。


父さんは、俺の方を見たままポッカーンとした顔で固まってる。


(え。めちゃくちゃショック受けた的な感じになっていないか?そんなに息子の俺に止められるのが辛かったんだな・・・。)


なんせ前世では俺は独身だったから、子供を持つ親の気持ちは分からんが、それ程ショックを受けてしまうのか・・・。

俺はどうしたらいいのか分からないままで一言父さんに声をかけた。


「父さん?大丈夫?」

「は!す、すまん少々驚いてしまってな。」


(あぁ、やっぱり息子に自分の属性を止められたのがショックだったんだな。)

と、俺は思ってたんだが。


(水の五行属性だと?!いやクリスが水の五行属性者だからあり得ん事もないが・・・。あんな巨大な水の属性防御は初めてだ。まさか、キョウのヤツとんでもない魔力量を持っているんじゃ。)


何やら父さんはブツブツと独り言を言っているみたいだ。


「キョウ、次は俺に攻撃をしてみなさい。遠慮はいらん。」


おっと。次は攻撃をしろとな?

攻撃って言ってもどうやって攻撃したらいいのか分からんのだが。


「えっと、どうやって攻撃をすればいいの?」


初心者な俺だ。予想的には先程の感じで魔力を放てばいいんだろうけど、壁を作るのと攻撃をするのでやり方が異なる可能性だってある。ここはきちんと父さんに聞かなくてはな。


「今お前が俺の攻撃を掻き消した様に魔力を五行紋に込め、攻撃すればいいだけだ。ついさっき言っただろう。五行属性はお前自身だ。」

「え~っと・・・はい。」


(なんだ。予想した通りかよ!)


さっきと同じなら話は早い。

俺の目にある五行紋に魔力を込めて、自分の中で手から大きな炎の玉を発射するイメージでやった。


(ボォーー!)

「うあ!出た!熱い熱い・・・って熱くない?」

「・・・・・。」


あ、分かった。

俺の魔力から出している炎だから熱くないんだ。

つうかそれしか考えられん。


「父さん!行きます!」

俺は父さんにそう言うと勢いよく炎の玉が父さんに放った。

「いや!ちょっと・・・ま。」

放った瞬間、父さんが何か言ってた感じがしたけど、もう遅い。


(ボーーーーン!!!)


俺の放った火球が父さんの方で大きく爆発した。

前世ではこんな事は夢の中での話だったが、現実にこういう事ができるのってかなり恐ろしいよな。

戦争なんてした事ないけど、戦争で銃撃戦などをしていた人はかなり命懸けだったんだろうな。


モクモクと爆発した後の煙が薄くなってきた。


「父さん!」


煙が薄くなって父さんの影が見えた。

俺よりも五行属性に詳しいはずの父さんだし俺のあんな火球くらいで大怪我をするとは思えんが。

俺は少し心配だったのもあり、駆け足で父さんの近くに向かった。


「父さん!大丈夫?!」

「あ、あぁ。」


当たり前といえば当たり前だが、父さんは無傷で立っていた。

父さんは小さく溜息ためいきをつき、ゆっくりと胡座あぐらをかいてその場に座り込んだ。

何だ?ダメか?ダメなのか?

父さん的にはやはり納得はいかないんだろう。

そりゃそうだ。俺的にも先程の炎の五行属性での火球攻撃は弱いと思った訳だし。

でも、あれが今の俺の全力な訳であって。

仕組みを理解したのはいいが、やはり底を上げるには修行的な事をしないとダメだな。


「キョウよ。」

「は、はい。」


突然父さんが俺の方をじっと見て真顔な表情で呼んだ。


「さっきの炎属性の火球は本気だったのか?」

(え?どういう事だ?水の門の壁を作って残りの魔力で放ったから本気といえば本気だろうし・・・。)


父さんの言動の意味が分からないが、とりあえずは本気だと言っておこう。

まぁ、初めから炎属性の攻撃を放っていたら、さっきまでのよりはマトモな大きさの火球ができたと思うけどな。


「本気だったよ!」

父さんは俺の目をじっと見つめた。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る