第11話 父さんとの手合わせ.1

「さて、職業の話はこれまでだ。お前がもし学園に入学できたとしたら、職業はどちらにせよ決めておかねばならんからな。」

「うん。分かったよ。」


(学園に入学する事と職業を決める事との繋がりがよく分からんが。)


父さんはそう言うと、パッと話を切り替えて俺の五行属性の件に切り替えた。


「さぁ、キョウよ。お前の五行属性を発動させて俺の攻撃を消してみろ!」


発動させて父さんの攻撃を消してみろと・・・。

発動はさせたいんだけど、俺自身、自分の属性の事がよく分かってないのに。

おそらく父さんの攻撃を消してみろという意味は、どう考えても属性攻撃を消してみろって事だろう。

俺の年齢を考えて本気で攻撃をしてくる事はないと思うけど、消すったって・・・。

とりあえず自分の五行属性をどうやって発動させるのか聞いてみよう。


「あの、父さん。俺、五行紋に魔力を流すのまでは分かるんだけど、どうやって発動させたらいいの分からないんです。」

(溜息つかれながら、嫌な顔されるかなぁ。)


「そうだな。では一度だけ教えてやろう。」


意外にも父さんは俺の言葉を聞いて何も言わず教えてくれる事になった。


「いいか。五行紋に魔力を流す事ができているのならば、後は放出するだけだ。」

「えっと、どうやって?」


「五行属性はお前の魂といっても過言ではない。言うなればお前自身なのだ。お前が出したいと思えば出る。」

「・・・・・。」


シーンっとなったなぁ。

もしかしてこれで話は終わりか?


「・・・・・。」


マジだ!マジでこれで話が終わりだ。少し黙って待ってみたけど、父さんからの会話の続きがない!

今のでどうやって発動すんだよ!

と、文句を言いたいがやらずにブツブツ言うのは人間としてダメだ。

何事も挑戦から始まるんだよな。やってみよう。

っと、挑戦心が決まったばかりなのに父さんは躊躇ちゅうちょなく攻撃態勢こうげきたいせいに入った。


「五行紋解放!」

「え、ちょ、ちょっ!父さん!待って!」


俺はかなり大声で言ったつもりなんだけど・・・。


「待たん!行くぞ!火球!」

っと言い、父さんの右手からおおよそ大人の人間の頭くらいの大きさの炎の玉を俺に向けて放った。

勢いよく放たれた炎の玉は、だんだんと俺に近づいてくる。

距離は100mくらい取ったがまるで野球ボールの様に飛んでくる。


「思ったよりも速い!炎の玉が近づいてきたし熱くなってきた!マジやばい!」


かなり混乱してきた俺はどうにか助かりたい一心で魔力を五行紋に集中した。

(と、とにかく壁!壁!壁ぇーーー!)

っと心の中で思いながら必死に両手を前に出した。

すると俺の両手から水の塊みたいな物が出てきた。


(何で水が出てきた??いやそれよりも炎の玉が来た!壁!)

っと、俺は頭の中で大きな壁を想像した。


(ブッシャーン!)

(し、死んだー・・・。)


(・・・・・。)


目をつぶっていて状況を見ていなかったが、炎の玉が来ない。

俺はゆっくりと警戒しながら目を開けた。










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