第8話 キョウの五行紋.2

ミコトは口を開いて話を続けた。


「お前の五行紋が白色なのは、お前の五行属性が特異だからじゃ。」

(いやそれは分かるよ、さすがに。)


「基本属性と同じで特異属性にも色が存在しておる。」

「え?じゃ俺のこの白色は?」


「お前の白色は「全」という五行紋じゃ。「全」は使い方次第では、弱くもあり強くもあり、何色にも染まる特異属性なんじゃ。」


(何色にも染まるって内容が気になる・・・が、それは使ってからだな。聞いてる感じ最強な感じだけどおそらくデメリットもあるはずだしな。)


「ちなみに他の特異属性は?」

「あとはお前の「全」以外では「重」、「吸」、「滅」、「生」、「無」の全部で6つが存在しておる。」


ミコトの話を聞いただけでもかなり特異属性が珍しい属性というのは分かる。

何だか、ヤバそうなのもあったし。

できれば特異属性の細かい詳細も教えてもらいたいな。


「なぁ、他の属性の内容って教えてもらえないか?」

「ダメじゃ。」

「え!?」

ミコトのまさかの返答に驚いた。

流れ的にそのままテンション高く教えてくれると踏んでいたんだが。


「私が五行属性を創造したのではないが、内容は確かに分かる。分かるが、教える事はできん。」

ついさっきまでペラペラ喋って教えてくれてたのに。


「キョウ。お前の前世での世界でもこの異世界でも最低限基本的な事は覚えてた方がよい。」

いや、それは当たり前だろう。

「まぁな。」っと、とりあえず俺は話を合わす。


「ついさっきまで教えてたのはこの異世界の人間なら誰もが知っておる内容じゃが、この世界の人間は自身の属性や身内の属性内容を把握している者は多いが基本的には他の人間の属性内容を知っている人間はいない。前世での世界でも、お前は最初から全部答えを聞いて生きてきたのか?違うじゃろ?」

とてつもなく正論だ。


いい年齢のオッサンの俺が幼稚園児みたいな事を言っていたんだと気づかされた。

自分の人生を生きていくのに、何でもかんでも答えを教えてもらい生きるのなんて人生とは言わない。

そんなのただの生きる価値のない甘えた生き物だ。


「すまん。ミコトの言う通りだ。俺が今質問した内容は聞かなかった事にしてくれ。」


「お前はこの世界の人間としてお前が思った生き方をすればいい。私は神としてお前やこの世界の人間達を見守るだけじゃ。」


「あぁ、基本的な事を教えてもらえただけでもありがたいよ。サンキューな。」


「お前の人生存分に生きよ。エンペル=キョウよ。またお前が死んだ時にでも会おう。」

そう言うとミコトはスーッと身体が薄くなっていき俺の前からゆっくりと消えていった。


(最後の死んだら会おうってのは余計だけどな・・・。)


今からが俺のこの世界での本当の人生の始まりだ。

そう決心しながらも俺は自分の空間から出て、家に戻る事にしたんだ。


「あぁ、すまん。言い忘れておったがこの世界では16歳で成人だからな。」

「うわ!ビックリした!」

消えたと思ったら突然何の前兆もなく現れたもんだから腰抜かすかと思ったわ。


「分かった分かった!ったくもう。」

「ハハハ。ではな。」


そういうと今度こそミコトはスーッと消えていった。


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