第6話 五行紋(ごぎょうもん)なる紋様
そんなこんなで俺的には何とも嬉しい場面もあった訳だが、ミコトに聞きたい事が山程ある。
聞かなきゃマジで分からん事ばかり過ぎて、どうにかなってしまいそうだ。
「さて、私からの祝福を受けて五行属性を得た事だし説明をしてやらんとな。」
「そうだな。この今の俺がどういう環境で育ったとかなんてのは、13年間の記憶として分かってるんだが、どうにも五行属性ってのがよく分からん。俺のこの世界での家族であるエンペル家の人間は皆紋様があったんだ。」
「そうじゃ。五行属性を得た証拠として各部位に紋様が現れる様になっておるんじゃ。」
「紋様っていうか、俺的には五芒星みたいな紋様に感じたけどな。」
「ふむ。五行属性はな、五行の線で繋がっておるから五芒星なのじゃ。属性の線が線を引き五芒星の形をする事で紋様となり属性の力を発揮する事ができるのじゃ。」
(うん?全くよく分からん。)
「えー、あー、うん?五芒星って魔除けみたいな意味があった様な・・・。」
「お前が生きていた前世での世界ではかつて、一人の陰陽師が使ったとされておってな。それから魔除けの五芒星と民に思われておったみたいじゃの。」
「そういえばそんな人がいたなぁ。」
「こっちの世界では魔除けではなく属性の力を封じ込めるのに紋様として使われておる。それとこちらでは五芒星などと言っても誰も分からんからな。こちらでは五行紋ごぎょうもんと呼ぶのじゃ。」
「なるほど。」
何となくだが、五行属性の事は少し分かった気がした。
「あ、そういえば俺の父ローランドと長男のエルリスはその五行紋の色が赤っぽい色で、母クリスだけが五行紋が青色っぽい感じの色だったんだが、意味はあるのか?」
(ミコトがだんだん説明をするのがメンドクサイって感じの顔つきになってきたぞ。)
「えーー、そうだなぁ。そのうち分かると思うんじゃがそれも説明しないとダメか?」
「いや、当たり前だろ。さっき自分で色々聞きたい事があると思うけどって言ってたじゃないか。」
「わ、分かった分かった!色が違うのは属性を現してるからじゃ。」
「属性?」
「五行紋は基本的には炎属性が赤色紋様、水属性が青色紋様、風属性が緑色紋様、雷属性が黄色紋様、土属性が茶色紋様で別れておるのじゃ。」
「じゃ、父さんとエルリスは炎属性で母クリスは水属性って事か。」
「ふむ。」
なるほどなるほど。それにしても前世ではそんな能力者的な事は現実的に考えれなかったがこちらではそれが当たり前・・・。俺は今までにないファンタジー的な要素が含まれたこの世界に転生できた事を恥ずかしながらワクワクと胸を躍らせた。
となると、後は俺の五行紋のみだ。
俺もエンペル家の人間だ。おそらく炎属性である赤色か若しくは水属性である青色なのだろう。
どれどれ・・・。
(ん?あれ?ちょっと待てどういう事だ?)
ワクワクしながら、俺は自分の身体を目で確認した。だが身体のどこにもない。
ちなみに、着ている服を脱ぎ全部調べた。
ミコトが目の前にいる状況で裸になるのはあり得ないが、まぁ、個人的にはそれどころではない。
それどころではないが、全裸になるのは良識ある人間としてあり得ないので上の服だけだ。
ミコトが首を傾かしげながら俺の方を見ながら口を開いた。
「どうしたのじゃ、さっきからキョロキョロしながら上着を全部脱いだと思ったら、またキョロキョロしてからに。」
「いや、ないんだよ。身体のどこにも!五行紋が!」
「は?何を言っておるのじゃ?ちゃんとあるではないか。お前の目に。」
ん?俺の聞き間違いか?俺の目ってどういう事だ?
いやもしかして・・・!
俺は、俺の異空間なのに何故か置いてある鏡を見つけ確認してみた。
「な、なんだこれ。目の中に五行紋がある・・・。」
「じゃろ?」
確かにあったけど、目の中に刻まれているが、目の色と同化している様で何色なのか全く分からん。
正直俺がどの属性に当てはまるのか色を見るのを楽しみにしていたのに。
最悪だ・・・。
俺の絶望的なテンションが顔に出てしまったのだろうか。ミコトがメチャクチャ気にしながら話を続けた。
「そ、そんなに落ち込まんでも大丈夫じゃ。お前の属性は分かっておるしの。色も目の色と同化してしもうとるみたいじゃが、五行紋を発動した時にはきちんと紋様に色が出てくるはずじゃしの。」
「え、俺の属性って結局どれなんだ?炎か?水か?」
「いや、お前の属性は特異属性じゃ。」
俺は聞き間違ったのだろうか?ミコトの口から特異属性という言葉が出てきたが。
「え?」
「いや、だから特異属性じゃて。さっき言ったはずじゃぞ。」
(そういえば言ってた様な・・・。)
「特異って事は特別で異質的な属性って事だよな?」
「まぁ、簡単に言えばそうじゃが特異属性者は五行紋の線ではなく、「線の中」に存在する属性でな。お前はその中の特異な属性を得た訳じゃ。」
「すまん。意味が全く分からん。」
「はぁーーーーーぁ。」
ミコトはかなり深くため息を吐いた。
もうかなり面倒くさくなってきたんだろう。神なのに・・・。
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