第19話 皇帝
ドラゴン三人衆を退けた俺達は、その後もワイバーンやオオトカゲの様な魔物を多数仕留め、ダンジョンに突入してから2時間もしない内に最奥部へと達していた(ソフィアが時計の魔道具を持っていた)。
「これがラスボスの居る部屋って訳か…。」
炎の様な紋様が描かれた大扉がそこにはあった。
「既にA+ランクのドラゴンが出現している事を考えると、Sランク以上のドラゴン種が待ち構えていると考えて良いでしょうね。」
こんなに早くSランクの魔物と戦うとは思っていなかったが、ここまでの戦い振りを見ているとそこまで労せず倒せるんじゃ無いだろうか。
「リュウトさん、リアさん、準備は良いですか?」
「おう。」
「大丈夫です。」
ずっと先導してくれていたソフィアがゆっくりと扉を開けると、高さ100m以上はありそうな巨大な空間に、某特撮アニメに出てきそうな超巨大ドラゴンが凄まじい威圧感を放っていた。
カイザードラゴン S+ランク
魔力量上昇・特大、炎属性耐性・特大
魔力量上昇・特大、炎属性耐性・特大、地面属性耐性・大
自身の保有スキルよりも格下のスキルしか保有していない相手の動きを封じる
流石S+ランク、
「リアはソフィアを守っていてくれ。こいつの相手は俺がする。」
「だ、大丈夫なんですか…?」
「まぁ、危なくなったら援護射撃は頼む。」
「む、無茶な真似はしないで下さいよ!」
こんなヤバそうなドラゴンに遭遇した時点で既に無茶だと思うのだが。小手調べとして俺は距離を取り無数の風の刃を放つ。やはりと言うべきか、黒く煌めく龍鱗の前には意味を為さない。
「グォォォォォ!」
鼓膜が破れそうなくらいの咆哮を上げた。同時にいずれも数m級の岩石と共にマグマを口から放出する。
「これは風の刃では捌き切れないぞ…。竜巻を発生させれば防げるか…?」
俺は普通の人間なら吹っ飛ばされそうな爆風と共に竜巻を発生させ、溶岩攻撃をカイザードラゴンへと押し返すがまるで効かない。炎属性耐性により無効化されている様だ。
「やっぱり直接斬るしか無いか…!」
『
「グルルァァァァァァ!?」
この一撃でカイザードラゴンの右足は切断され、痛みの余りかカイザードラゴンが絶叫する。しかしこれで本格的にスイッチが入ったのか、強烈な爪撃とブレスで猛ラッシュをかけてくる。堪らず飛び退いて距離を取ると、咄嗟に思いついた飛斬撃に風魔法を乗せた合わせ技でカイザードラゴンの目を狙った。
「良し!これで胸元に突っ込める筈…!」
視力を失って狙いが定まらず、滅茶苦茶な攻撃を繰り返すカイザードラゴン。素早く間合いを詰めた俺だが、カイザードラゴンの振り回していた爪撃の軌道に入ってしまった。
「ガキンッ!」
咄嗟に刀身で受け止めると、カイザードラゴンの爪が砕ける。腹の真下に着地すると、一気に飛び上がってカイザードラゴンの胸元へ刺突を喰らわせる。
「グギャァァァァァァァァァァァァ!」
甲高い最後の咆哮を上げたカイザードラゴンは、ピタリと体の動きが止まり、凄まじい音を立てて後方へと倒れ込んだ。
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