第18話 攻略戦
「リザードマンが複数、ですか…。」
一旦ギルドに戻って来た俺達の報告を受けて、ソフィアが苦い顔で呟く。
「ブラックワイバーンやリザードマンが出現していると言う事は、まず間違いなくドラゴン系のダンジョンが発生しています。その場合はAランク以上の強力なドラゴン種が主として待ち構えている事が多いですね。放っておくと大変な事に…。」
Aランク級のドラゴン種と聞いて内心俺は興味が湧いていた。今のランクでは高ランクの依頼も受けられないし、異世界に来たからには一度強い魔物と戦ってみたいのだ。
「リュウトさん。リアさん。私と一緒にダンジョン攻略の依頼を受けてくれないでしょうか?」
「ああ、もちろ…一緒に?」
「お伝えした通り、今のワーテルにはドラゴン種と戦える様な冒険者の方が他に居ないので…。こう見えても私、ギルド職員になるまでは冒険者をしてたんですよ。」
鑑定系スキルしか無いのに大丈夫なのかと言う不安はあったが、本人がこう言うなら大丈夫なんだろう。リアも「光属性魔法と闇属性魔法を試してみたい」と意気込んでいた。
そして3人でしばらく森の奥へと進んでいくと、地面に半径30mくらいはありそうな大穴が空いていた。
「…地下ダンジョン?」
「突発的に発生するダンジョンは作りが雑になりがちなんです。」
ダンジョンに作りが丁寧とか雑とかあるのか…。そんな事を考えていると、ダンジョンから勢いよく緑色の鱗を身に纏ったドラゴンが飛び出して来た。
「うおっ!?」
「お二人とも、ここは距離を取って下さい!あれはB+ランクのレッサードラゴンです!風のブレスに気を付けて下さい!」
すぐに後ろへ飛び退いた俺だったが、リアは無数の光の矢を撃ち出していた。
「ギァァァ!?」
翼で撃ち返そうとするレッサードラゴンだが、間髪入れずにリアの放ったなんか黒いボール(多分闇属性魔法)や巨大な氷柱がその鱗を貫いていた。
「もうリア1人で攻略出来るんじゃないのか?」
「…同感です。」
「い、いや今のはたまたま上手く当たってくれたと言うか、そんなに硬く無さそうでしたし…。」
仮にもドラゴン種であるレッサードラゴンの鱗が大して硬く無いのならリアの魔法を受けられる魔物は殆ど存在しなくなってしまうのでは無いだろうか。
しかもレッサードラゴンが飛び出して来た時も殆どビビって無かったし。意外と肝が座っている。レッサードラゴンに続いて中から出てきた数体のリザードマンをまたしてもリアが一掃すると、俺達は早速ダンジョン内へと突入する。
「いきなり手厚い歓迎ですね…。」
中に入ってすぐの分かれ道を取り敢えず右に進んだ俺達は、いずれも種類の違う3体のドラゴンと遭遇していた。
フレイムドラゴン Aランク
プラチナドラゴン A+ランク
魔力量上昇・大
身体能力上昇・中
ダークドラゴン Aランク
『世界眼』を向けた俺はドラゴンの癖に呪いを使うなんて意外だなと考えていた。
「私が右のフレイムドラゴンを引き受けます。
リュウトさんはプラチナドラゴンを、リアさんはダークドラゴンを頼みますよ!」
早速俺は接近戦に臨もうとしたが、閃光を纏ったプラチナドラゴンは激しいフラッシュの様なブレスを放ってきた。すぐさま風の刃で迎撃するが、相殺し切れなかった様だ。
「ぐっ…。光が強すぎて視界が…。」
ブレスを吐くにはタメがあるのか、再び接近してきた俺に対して今度は尻尾を振り回して攻撃してきた。ダンジョンの通路はかなり横幅が広いとは言え。この状況では回避が難しい。素早く抜刀した俺はここまで出番の少なかった『闇』で尻尾打ちの相殺を狙う。
「フンッ!」
相殺どころか切り落としていた。俺的には殆ど手応えが無かったんだが…。
「はっ!その程度の爪撃では掠りもしませんよ!」
ソフィアはなんかフレイムドラゴンを煽りながら戦っていた。武器はショートソードの様だが、水魔法も駆使しながらフレイムドラゴンにダメージを蓄積させている。ブレスも一度も喰らってない様らしい。冒険者時代にはかなりの実力者だったと推察するね。
一方のリアの方は、光の鎖を作り出して武器に利用したり、火の槍や鉄砲水を放ったりしてダークドラゴンを翻弄していた。どうも色んな魔法を試しているらしい。程なくしてリアはダークドラゴンを氷漬けにして息の根を止め、ソフィアも一足早く片を付けたリアの援護を受けながらフレイムドラゴンの胸部へ短剣を突き刺していた。
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