第17話 不穏


まず俺が気になったのは魔道具専門の店だった。自動で熱が発生するフライパンらしきものや、水が出る蛇口等があったが俺はランタンを買う事にした。いずれ夜営をしたりとか使い道はあるだろう。値段も金貨3枚と今の俺なら充分買える範囲だった。 


次に俺達は服屋に入った。


「これなんか動きやすそうだし、良いんじゃないか?」


俺が指差したのはパーカーの様な服だ。所謂マウンテンパーカーと言うものだろうか。


「そうですね…。」


30分程見て回っていたリアは、結局グレーの俺が勧めたパーカーとショートパンツを買っていた。今まで来ていた服はかなり古そうだったからな。ブラックワイバーン討伐のお陰で臨時収入が入ったから新調したかったのだろう。


その後俺達はカフェの様な店で昼食を取った。干し肉と野菜の入ったミックスサンドと柑橘系のジュースと言うメニューだったのだが、この世界の人間の味覚は元いた世界とさして変わらないのかもしれない。因みに宿の風呂は魔道具で湯を沸かしているらしく、シャワーは無いので少し物足りなかった。


翌日、昨日よりも少し遅めに目が覚めた俺は、リアと宿で軽い朝食を摂って早速森の調査へと出掛けていた。


「突発性のダンジョンの可能性があると言っていたが、今の所ワイバーンもあの一体以外は見てないよな。」


「ソフィアさんもまだダンジョン出現だと決まった訳では無いと言ってましたし、偶然一体だけはぐれていたのかもしれませんね。」


ソフィア曰くワイバーンは基本群れで行動する魔物らしい。ただのはぐれワイバーンなら良いのだが。


「あれは…。」


前方100m程先の木々が少し開けた場所に、3体の魔物らしき影が見えた。どうやらこれだけ離れていても『世界眼』の射程範囲に入っていたらしい。


リザードマン Cランク


上級アドバンス 激鱗 Lv4


Cランクの魔物が複数体。これはもう、疑う余地はないだろう。俺が『世界眼』を持っている事を知っているリアが聞いてくる。


「あの魔物は一体?」


「Cランクのリザードマンみたいだ。どうやらソフィアの懸念は的中したらしい。」


「Cランクの魔物が複数体で徘徊してるなんて…。」


正直リアの実力ならあの程度の魔物は簡単に倒せると思うんだが。俺とリアは少し距離を詰めると、先手必勝とばかりに風の刃と火の矢を同時にリザードマンへと放った。全属性の魔法が使えるリア、羨ましい。


あっさりと3つの魔石を回収した俺達。俺はこのままダンジョンを探しても良いと思ったのだが、リアがギルドに一旦報告した方が良いと言うので、今日のところは森から引き上げる事にした。


--------------------

現状タイトル詐欺みたいになってるけどその内ちゃんと剣も使います。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る