第14話 パートナー


リアと報酬を銀貨10枚ずつに分け合い(最初はリアが自分は銀貨5枚で良いと遠慮していたが、良い気はしないので半分に分けた)、冒険者ランクが上がって内心テンションが上がっていた俺に、真剣な面持ちでリアが話しかけて来た。


「あ、あの…もし良かったら、わたしと正式にパーティを組んでくれませんか?」


リアと出会う前はパーティを組む気はなかった俺だが、リアから話して来なければ、こちらから誘うつもりだったので勿論俺は快諾した。


それに、低ランクの新米冒険者が伝説級レジェンドのスキルを持っているなんて事が知られれば、他の冒険者等に利用されてしまうのではないかと言う俺の勝手な心配もあった。俺は正式にパーティを組む為に申請すべく、受付カウンターのソフィアの元へ向かった。


「なあソフィア、リアと正式にパーティを組みたいんだがどうすれば良いんだ?」


「あら、さっきはパーティを組む気は無いと言っていたのに凄い変わり様ですね。それでしたら、こちらの申請書にお2人のお名前とパーティ名をご記入下さい。また、パーティランクはお2人の冒険者ランクの平均値で決まるので覚えておいて下さいね。」


パーティランクの事は良いが、パーティ名なんて全く考えていなかった。


「リアはパーティ名について、何か希望はあるのか?」


「い、いえ。わたしは何でも良いと言うか…。リュウトさんが決めた名前なら何でも…。」


なかなかの難題である。少し考えた俺は、長過ぎても変なので『闇』と『風の支配者ウインド・ルーラー』から取って、「漆黒の風」と名付ける事にした。完全な厨二ネーミングだが、この世界には厨二病などと言う概念は無い筈である。


ソフィアに申請書を提出した俺達は、今後の活動について話し合う事にした。


「そう言えばリアは何処に住んでるんだ?依頼で遠征したり、遠くのギルドに移ったりしても大丈夫なのか?」


俺はゆくゆくはこの異世界中を見て周りたいと思っているので、この点は割と重要である。


「実は、わたしはこのワーテルにある孤児院出身で、冒険者になる為に孤児院から出てきたばかりなんです。なので今は、ギルドの近くにある宿に泊まってます。」


そう言う事なら俺にとっても好都合である。俺はリアが泊まっていると言う宿に案内してもらった。


「意外と大きい宿なんだな…。」


孤児院から出てきたばかりと言う事で、俺は小さな民泊みたいなものを想像していたのだが、実際にはホテルとは言わないまでもなかなか立派な宿であった。


「それじゃあ今日はもう夕方だし、俺もここに泊まる事にしようかな。」


早速俺は宿の中に入り、受付のおばさんに声をかける。


「すみません。早速今日から泊まりたいんですが…。」


「一部屋で良いね。朝食と夕食がついて一泊につき銀貨4枚になるよ。」


先程のゴブリン討伐で得た報酬を1人でも受け取ったとすると、5日は泊まれる計算になる。宿の値段設定が良心的なのか、ギルドの報酬が高いのか。ひとまず銀貨4枚を支払い、2階の部屋に案内された俺は、暫く休んでから異世界に来て初の食事を摂る事になった。


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第6話公開後に内容を修正したのですが、リュウトが転生して来たのはテルリッツ王国・都市ワーテルになります。

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