第13話 初戦闘
「ゴブリンってこんな穴に居るんだな」
俺達は依頼を受けてすぐに、町から少し離れた森にある、ゴブリンが目撃されたと言う洞穴に来ていた。
「ゴブリンは夜行性なので、朝方から日が完全に落ちるまでは洞窟などに身を隠していると聞いた事があります。」
中を覗いてみると、早速槍を持った醜い顔のゴブリンが見張りの様に立っていた。俺はゴブリンへ『世界眼』を向けてみる。
ゴブリン G+ランク
身体能力上昇・極小
流石にG+ランクとなると弱い。依頼では5.6匹程の群れが出現とあったが、余裕をもって狩れるだろう。
「あの…風属性魔法を試してみたいので、あのゴブリンに先ず私が攻撃しても良いですか…?」
その問いに頷いた俺。
「それじゃあ…えい!」
「グギギィ!?」
リアが右手を振りかざすと、2メートル以上はありそうな風の刃が撃ち出され、ゴブリンを一撃で両断してしまっていた。
「これは凄いな…。」
「わ、わたしが1番驚きです…。」
人生で初めて見る魔法に驚く俺は、真っ二つになったゴブリンの横に黒い石が落ちているのを発見した。『世界眼』で見てみるとどうやらこれは所謂魔石らしい。拳大の石に何やら禍々しい模様が描かれていた。
「この調子ならわたしでも簡単に狩れそうです!」
人生初の魔物撃破に嬉しそうなリアを見て、自然と俺の頬が緩む。
そこから少し奥に進んだ俺達は、天井が高くなり開けた空間で4体のゴブリンに遭遇した。
「よし、ここは俺に任せてくれ。俺も早くこいつの切れ味を試してみたい。」
リアにそう告げて『闇』を鞘から抜いた俺は、先ずは1番先頭に居たゴブリンに接近し右サイドから斬りかかった。竹刀とは違う本物の刀が俺に扱えるのか少し不安だったが、『剣神』による剣術強化と身体能力強化の効果は想像以上のものだったらしい。
勝手に脳内に最適な動き方が浮かんで来る。先頭のゴブリンはまともに反応すら出来ず袈裟斬りにされ、続けざまに放った飛斬撃で残るゴブリン3体も先程のリプレイを見ているかの様に真っ二つに両断されていた。
「こ、これがGランク冒険者?それにあの真っ黒な刀は一体…。もしかしてリュウトさんも強力なスキルを…。」
そんなリアの呟きが後ろから聞こえたが、計5つの魔石を回収しあっさりと初依頼をクリアした俺達は、出発してから2時間程でギルドへ戻って来た。
「あ、リュウトさん。早速どこかへ依頼にでも行かれてたんですか?あれ、そちらの方は?パーティは組まないとおっしゃってませんでした?」
「あぁ、リアは俺がどの依頼を受けるか迷ってた時に声をかけられてね。共同でゴブリン討伐の依頼に行ってたんだ。」
「そうだったんですね。それでは、回収して来た魔石を見せてもらえますか?」
俺は5つの魔石をソフィアに手渡す。
「その魔石でゴブリンからドロップした魔石だって事が分かるのか?」
「はい。ギルドにある魔道具でこれまでに討伐された事のある魔物の魔石は判別する事が出来るんです。」
スキルストーンもそうだが、そんな魔道具は一体どうやって作られているのだろうか…。
そんな事を考えていると、受付カウンターの奥の部屋からソフィアが戻って来た。
「こちらが今回の依頼達成報酬となる銀貨20枚です。それと、Gランク冒険者の方がG+ランク以上の依頼を達成するとランクが1つ上がる事になっていますので、お2人はこれでG+ランク冒険者に昇格となります。」
銀貨の価値は分からないが、取り敢えず冒険者ランクが上がった事に満足する俺なのであった。
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