第8話 専属受付嬢

「ところで、リュウトさんのスキルについてですが…」


ソフィアから俺のスキルの話を振られ、俺は内心かなり動揺していた。俺は自由に冒険がしたいと思っていたので、スキルの所為で面倒ごとに巻き込まれるのは御免である。


「…最低でも英雄級ヒーロー以上のスキルを、それも複数お持ちですよね?」


周りには聞こえない様にそう小声で言ったソフィア。


「い、いや…まぁ、確かに複数スキルを持っていると言うのは正解だけど…」


取り敢えず誤魔化そうとする俺。


「…少し、奥の部屋でお話ししましょう。着いてきて下さい。」


駄目だったらしい。俺は受け付けカウンターから事務室らしき部屋へと案内された。


「…なんで俺が英雄級ヒーロー以上のスキルを持っていると分かったんだ?」


「それについてですが、先ずは鑑定系スキルについて少し説明しましょう。鑑定系スキルは生命・非生命を問わず情報を確認出来るスキルですが、見たい相手のスキルが自身の持つ鑑定系スキルよりも"級"が高い場合は見る事が出来ないんです。


この際隠さずに言いますが、私は上級アドバンススキルの『鑑定』を持っています。スキルの級は高い順に神話級ミソロジー伝説級レジェンド英雄級ヒーロー上級アドバンス中級インターミディエイト下級インフェリアとなっているんですが、リュウトさんのスキルは上級アドバンススキルの『言語対応』以外見る事が出来なかったので最低でも英雄級ヒーロー以上のスキルを持っていると分かったんです。」


これは有益な情報だった。俺の『世界眼』は伝説級レジェンドスキルではあるが、仮に見たい対象が格上の神話級ミソロジースキルを持っていれば見れないと言う事になる。


「そこでなんですが、私にある程度で良いのでスキルについて教えて貰えないないでしょうか?リュウトさんのスキルがどんなものか把握していればサポートもしやすいですし、今後の冒険者活動を考えて私がにリュウトさんの専属担当に付けば、スキルの事が私以外のギルド職員に知られる事も無いと思うんですが…」


少しソフィアに自分のスキルを教えるのは抵抗があった俺だが、他のギルド職員にも知られると面倒だと言うのと、単純に俺の好みのタイプだったソフィアが俺の専属担当と言う響きに惹かれてこの話を受ける事にした。

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