第2話 剣士の才能

突然の事に驚き、声も出なかった俺は取り敢えず少女に聞いてみることにした。


「なぁ、この真っ白な空間はどこなんだ?そして君は一体?」


「ん、自己紹介がまだだったね。私はラーナ。簡単に言えば神さ。因みに神は何人もいる訳じゃなくて、あー、つまり私は唯一神と言う事だな。そしてここはさっきまで君が居た世界とは別の異世界に繋がる空間だ。まぁ異空間とでも思ってくれれば良い。」


自身を神だと名乗った少女は少し得意げにそう言った。俺はさらに混乱する。


「…君が神?それに異空間って、俺は夢でも見てるのか。」


「いいや?これは紛れもない現実だよ?私は神で、君は神である私にこの異空間へ呼び出された。それだけの話さ。」


困惑する俺を無視して彼女は話し続ける。


「私が君を呼び出したのは君に興味を持ったからだ。君なら私を楽しませてくれるんじゃないかとね。君は少し剣の腕に覚えはないかい?」


確かに、俺は学校の剣道の授業では明らかに周りより動きが良かった。剣道自体に少し興味はあったが、中学の授業では難しい技も習わないし、俺は剣道を習ってもいなかった。


「兎に角、私は君に眠る剣の才能に目を付けたんだ。生憎私は暇でね。君に少しばかりのスキルを与えて異世界へ飛ばせば面白くなるんじゃないかと思ったまでさ。」


スキルがどんなものかは知らないが、いきなり異世界へ飛ばされても困る。それにそもそも、剣道の有段者なんかの方がどう考えても俺より強いだろうと思ったが、困惑する俺は口には出さなかった。


「早速君には異世界へ行ってもらう訳だが…

勿論私も鬼では無い。君にはいくつかスキルと暫くは暮らせるくらいの資金を渡しておく。後は強大な魔物と戦うなり、貴族の不正を華麗に暴くなりなんなりして、私を楽しませてくれよ?それじゃあ、私は君の活躍を楽しみに見守っておこう。」


「え、ちょ」


こうして俺の異世界ライフは、殆ど現状を飲み込めないまま開幕した。


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