水着の下にTシャツって、そそる!

「巨乳の子が白シャツの下にビキニ着て、透けてたら尊い!」


 また、こいつの妄想が始まった。

 今のあたしがその格好だからな。


「しましまビキニとかよくないか? ねえ。ほんっとに、いやらしい身体に育ったねミクリは」

「そういうお前はTシャツの下、スク水やないかいっ」


 ユズキに海水を浴びせ、エセ関西弁で返す。


「わたしのは恥ずかしいからいいのっ。色気とか目的ではないからっ」

「あのなユズキ、そういうのが一っ番、そそるからな」

「いやいやわたしはしがないおさげメガネッコですよ。胸も貧素で、背もムダに高くて色気ゼロっすよ」

「とんでもない。あんたみたいなのが、隠れファン多いんだから。見てみろ男子諸君を」


 あたしは、男子の視線が負っている先をユズキに確認させる。


「うわーみさなーん、わたしみたいなイモを見てもうれしくないでしょー? こっちに熟れた果実がおりますよー。性癖バリバリ刺激いたしますよー」


 ユズキが、あたしをしきりに推し始めた。


 しかし、こいつだって気づいたはずだ。自分がどれだけ、注目されているか。

 

「違うんだ、ユズキ。よく考えろ。あたしはあんたに比べたら、まさに引き立て役にすぎないのだ」

「それなら、わたしのほうじゃん」

「わかってない。お前はなにもわかっちゃいない」

「わたしゃ、わかりたくもないよ」

「イヤ、気づけよ。男子の視線をよお。お前の魅力は、ケツなんだ」


 シュバ! と、ユズキが尻を隠す。


「遅い遅い。お前はどれだけガリガリだったとしても、その分中学生独特のプリケツを強調しているのだ! この生理的な現象からは、誰も逃れられない」

「それなら、あんたもじゃん!」

「それも違うんだ。あたしは胸もデカいから、必然的に胸へと目線が行く。ケツには反応しないのだよ」


 男子は、ユズキのスク水ヒップに夢中だ。


「第一、あんたの魅力は『手の出しやすさ』だ。この子ならいけるんじゃないかっていうAKB方式的な法則で、男はお前に声をかけようとするだろう」

「えーっ。そうかなぁ」

「では、こうしたらどうだ?」


 あたしは、ユズキに抱きつく。指を絡ませ、正面から。

 弾力のあるオッパイを、ユズキの平たい胸板に押し当てる。


「男子共、みんな『あら~』って顔をしているぞ。ここで追い打ちだ」


 あたしは、ユズキの腰に腕を回し、Tシャツをわずかに上へとずらす。


 ああもう、これだけで男子が前かがみになり始めたぞ。

 さらに誘ってる感が増して、ユズキの攻略度合いが高まっていく。


「どうよ。ゾクゾクするでしょ?」

「お、おう。でも」

「なんだよ?」

「攻略するならミクリがいいな」


 あたしをドキドキさせて、どうすんだ?

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