第7話 部活の練習がキツ過ぎる!?
「今日から朝練か……」
電車の中。座りながら一息つく。
この前の部活見学から1週間ほど経った。
無事、入部届を出すことができ、陸上部に入れた。
今日から朝練があるということで1時間くらい早めの電車に乗った。
ちなみに放課後の練習はいきなりはキツイということでまだないらしい。
朝練に慣れてからだそうだ。
「はぁ……クソ眠い」
久々にこんな早く起きたから少し眠い……
それに妹に回し蹴りを食らわされたせいで胸が痛い。
起こしてくれるのは本当にありがたいんだけど、あんまり蹴るのだけは勘弁してほしい……
「そいえば部活着って案外カッコよかったんだよな。初めて知ったぜ……」
服もついでに買った。
いい服が家になかったからだ。
黒のTシャツでお気に入りだ。
すると。
「!? いまなんか変な感じがした!?」
鋭い視線のようなものを感じた気がした。
周りを見渡してみるが、朝ってこともあってほとんど人もおらず、こっちを向いている人なんて誰もいなかった。
「気のせいか……でも確かにビーンって来たんだけどな。おかしい……」
「誠君、なにがおかしいんですか?」
「犬倉さん!?」
体がビクッとなった。
目の前に犬倉さんの姿が映りこむ。きっと号車を移動してきたんだろう。
それにしてもびっくりした。
「そんな驚くことないじゃないですか!」
「悪い悪い。ちょっと変な視線を感じてた時にいきなり出てきたもんだからつい……」
怒った顔も可愛かった。
ぷりぷりしている。
「もう全くです……隣、座ってもいいですか?」
「ああ、どうぞ……」
俺と隣に座る。
傍から見たらただの彼氏彼女の関係だ。
そう考えると少し恥ずかしくなってくる。
しかもこの1週間ほとんど話す機会がなかったからなおさらだ。
適当な1週間を過ごしただけだった。
「今日から朝練ですね」
「そうだな。いよいよ部活が始まるって気がする」
「わかります。不思議な感じですよね楽しみです!」
「だな」
やっぱり犬倉さんとの会話はいいなぁ……
凄く気持ちが楽になる。ずっと話していたい。
……でもずっとは流石に恥ずかしいからちょっとでいいけど。
「そうだ、犬倉さんってどの距離を走るつもりなんだ?」
「私ですか? 私は……短距離です」
「俺と一緒じゃん!?」
「へぇ、誠君も短距離なんですか。凄い偶然ですね!」
「まさか、部活だけじゃなくて部門も一緒とはこれって本当に……」
運命なのではないか!?
そう思う。
だってどんだけの確率なんだよ。ありえないだろ。
痴漢から助けて、部活も一緒で部門も一緒。
よく考えてみたら凄いなそれ!?
「……あ、電車が着きました」
そんなことを考えていると駅に着く。
電車から降りる直前。
「!? やっぱりなにか感じる!?」
また感じた。気のせいじゃない!
……でも気配がないんだよな。
本当になんなんだよ、これ……
「ほら、行きましょう!」
「……ああ、とりあえず行くか」
よくわからん。
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部活着に着替え、外に行く。
他の部員も集合していて、準備体操を始めていた。
「ちょっとちょっと、遅いぞ新入生! 今日から朝練なんだから一時間前くらいから来るべきでしょ!」
「部長。それは早すぎでは?」
「副部長君は黙ってくれたまえ。これは私とこの生意気なガキの問題なんだ!」
「ガキって言い方酷くない!?」
「この前の仕返しだよ!」
「根に持ちすぎでしょ……」
近づいて行くと言われた。
俺もその中に並んで、運動を始める。
「あ、誠君。さっきぶりですね」
「犬倉さん……」
す、すごい……
制服のほうも似合ってるけど、こっちも凄く似合ってて、可愛い……
それになにがとは言わないけど……デカい!
「な、なにか私にゴミとか付いてます?」
「いや、ついてないよ。大丈夫だよ……」
「そうですか……ずっと見つめられていたので……」
わかるのかよ。
女の子って意外と鋭いな!?
こうして練習は始まった。
前に言っていた通り、副部長が短距離のコーチだった。
説明を始める。
「ではまず50mを5回×10本ほど続けてもらいます」
「合計で50本ってこと!?」
「そうです。そうしたら瞬発力を付けるためにスクワットを100回ほどやってもらいます。いつもこんな感じで朝練をしてもらいます」
「「……」」
他の新入生たちも口を閉じて、絶句していた。
衝撃だったんだろう。
犬倉さんも肩が高くなってて、ちょっと緊張しているのが伝わってくる。
しかし、2年生とかは普通の顔をしていた。
1年間これをやっていたから慣れたんだろう。
よくこれを慣れれるよな……
「ふ、これくらいなら誰でも行けるだろ。さっさと始めようぜ」
すると、近くにいた奴が言う。
確かこの人同じクラスの……
「俺の名は
やっぱり同じクラスの人だった。
格好つけて指を空に向けている。
「……今年は意気のいい1年生がいるみたいですね。その調子で頑張ってください」
「おう、任せろよ副部長」
自信満々だな。
どれくらい早いんだろう……
「終わったら朝練は終了なので各自で帰ってもらって……じゃあ、練習開始」
副部長の合図で練習が始まった。
これを一言で表すなら地獄そのものだった。
辛くても止めれない。サボっていたら怒られる。
おまけに水も飲む時間がない。
ハード過ぎるだろ!? 本当に部活かよこれ!!
「99……100! はぁはぁ……やっと終わった……」
その場で崩れるように寝転がった。
ちゃんと終わらせたぞ!
「おお、お前見かけによらず意外と早いんだな。びっくりしたぜ」
目の前にはさっきの長谷川が元気よく立っていた。
意外とは余計だよ……
「お前は終わらせたのか?」
「ああもちろん。お前が終わる5分前には終わってたな。まあでも俺からすると遅いだけで全体的に見れば早い方だと思うぞ」
「マジかよ……」
周りを見れば確かにまだ結構な数の人がやっている。
犬倉さんもその一人だ。ちょっと見ていると、すぐに終わり、俺と同じく寝転がった。
それに比べてこいつ、どんだけ早いんだよ。
しかも全然余裕そうで疲れてなさそうだし化け物か!?
「やっぱこんなかだったら圧倒的に俺が1位だな。どんな感じか残って見てみたらカスみたいなやつしかいねぇ……」
「カスね……」
陸上選手としては優秀だけど性格は終わってるな……
「だってそうだろ。こんな簡単なことすぐに終わらせれるのが普通だ。それに手こずってるやつはみんなカスみたいなもんだ。お前も含めてな」
「さっきから言い方キツくない!? おい、喧嘩するか!?」
「まあいい。俺はこんな奴らとは馴れ馴れしくはするつもりがない。俺は次こそ全国に……」
そう言い残し、どこかに消えていく。
その瞬間、チャイムが鳴った。
「やべ、チャイムじゃん! ホームルームが始まるチャイムじゃん!」
俺たちは急いで教室に向かった。
これで朝練なのかよ。
じゃあ放課後の練習ってどんだけ厳しいんだ!
不安だ……
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