第5話 #セリフ読み

「次は姉さんにセリフを呼んでもらうわ」

「おう」


 昨日俺が声を出した後愛衣羽は俺に読んで欲しいセリフを募集していた。俺がそれを知らされたのは今日で急なことに驚いたし、流石に恥ずかしかったから断ろうとしたけど、三桁を越えるセリフが送られてきていたから流石に読むことにした。


:これを聞きに来た

:楽しみ!

:わくわく

:声いいからやばそう


「来たセリフは大体男が読むようなセリフだったのは予想通りだったな」

「姉さんは女の人にばっかりもてるからねえ。 それじゃあいくわよ」


:顔もイケメンだもんな

:男より女にもてそう

:私もこんな人なら女同士もあり


 リアルと似たようなことばっか言われるからほっといて愛が画面に出したセリフを読む。


「えっと、最初は……短いな、いくぞ


『俺以外の女と話すの禁止な』


どうだ?」


 恥ずかしいなこれ、普段なら絶対言わねえぞ。


:はい! 分かりました!

:これはメスになる

:これはオスになる

:どっちだよ


 なんだこれ、男っぽいアカウントが女になって女っぽいアカウントが男になってやがる。VTuberってのは配信見に来る方も性別が変わるのか? 性別適当すぎないか?


「姉さんが沢山の女の人と話してる時点で人に言えることじゃないけどね」

「それは、俺から話かけることはほとんどねえだろ」

「それでも全部答えてるから一緒よ」

「すまん」


:姉妹喧嘩か?

:嫉妬してる愛ちゃんすこ

:のんは言い返せないのかよ

:怒ってる顔可愛い


「姉さんこそ私以外の女と話すんじゃないわよ」

「は、はい」


:完全に負けてて草

:やっぱりのんは女だわ

:ちょっと照れてたしな

:メス堕ちの兆し

:てえてえ

LAI:そんな! LAIは良いですよね?


「LAIママも仕事以外禁止よ。ママが姉さんを狙っている限りはね」


LAI:そんな……

:ママも愛には逆らえない

:ママものんを狙ってんのか

:娘を狙う母親ってどうなんだ?

:近親〇姦!?


「おい最後の奴やめろ」


 何てこと言いやがる。これネットで流れてるんだろ? それなのに平気にそんなコメントするとか、ネットってこんな場所なのかよ。

 というか菊花は思ったよりコメントしないな。あのメールの感じだともっとはしゃいでコメントするかと思ったが案外大人しいんだな。もしかしたら愛衣羽に制限されてるのかもな。ありそうな話だ。


「はい、次行くわよ。これね」


 愛衣羽が次のセリフを画面に出したから俺は一端考えるのをやめてセリフを読む。


『おかえりなさいませ。ご主人さまぁ~』


:草

:あんま似合わない

:イケボで言うセリフじゃねえw


「ただいま。お風呂にするから一緒に入りなさい」

「何で愛がご主人様になってんだよ。一緒に入るのは良いけど後でな」


:愛の女王様感

:さらっとご主人様になる

:てえてえな

:風呂入るのは照れないんだな


「姉妹で風呂は入るくらい普通だろ」

「そうね」


 あの親のせいで一緒に入れなかったがな。これからは一緒に居られるんだ、風呂だって一緒に入る。


:普通なのか?

:その年で?

:私妹と風呂とか長いこと入ってないけど

:私は姉さんとたまに入る


「あれ普通じゃないのか?」


 流石に成人してたらもう一緒に入るもんじゃないのかな。


「いいえ、普通のことよ。ほら、ここに入るってコメントしてる人もいるでしょ」

「そうだな」


 愛衣羽が言うなら普通だろう。


:さらっと信じてて草

:愛が言うことは信じる女

:姉妹愛ですな

これも一つのてえてえ?


コメントがなんか言ってるが愛衣羽はそれを無視して次のセリフを出した。いや、これはセリフと言うより質問だな。


@お姉さまは沢山告白されたことがあると予想したので告白されたときの断り方を教えて下さい。今までで一番言ってきたものがいいです。お姉さまに断られたい@


「断られたいってなんだよ」


:確かに

:断られるために告るとかただの罰ゲームじゃん

LAI:そのレベルにはついていけません

:ほとんどの奴がついてけないと思うよ

:あ、私のやつだ

:本人居たわ


「これは女性向けね」

「あー確かにな」


 この言葉を男に言うことはねえな。俺が断るときに一番言ってきたことっていえばこれだからな。


『いや告白とかそういうのはせめて男にしろよ』


:そう来たか

:男より女に告白される女

:送った人女っぽかったし丁度よかった

:ありがとうございます

:同性愛も認めたってや


「いや俺に告白してくるやつの半分以上が俺を女としてみてねえんだよ。高校のミスターコン知らねえうちに優勝してやがったんだぞ」


 俺の事女としてすら見ねえ奴らへの返事はこれしかねえだろ。他にあったら教えて欲しいわ。


:まじかよ

:全男子差し置いて優勝するとか

:男子のレベル低かったのかな

LAI:あ、それ投票しました

:男子のレベルの低さよりのんのレベルの高さじゃね


「おいLAI、てめえ覚えとけよ」


LAI:はい!

:はいじゃないが

:こんなママ知らねえ

:誰だこいつ


「はいはい、もう終わりよ。最後にこれね」


 いつの間にか時間が経っていた。最後に良く分からんのを出されたがとりあえず読むか。


『鈍いなぁまだ分かんねえのかよ? お前、死ぬぜ?』


:ヒエッ

:こわかっこいい

:急にかっこよくてビビった

LAI:

:LAIママ死んじゃった

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