第4話 #姉の紹介
「こんあいー。清楚な人形、人形愛とー」
「姉の人形のんだ」
:来たー
:こんあいー
:やっぱ声いい
:声だけじゃなくて顔もイケメンだったか
:のんか、可愛い名前だな
前回ちょっと喋った時と同じでかっこいいと言われる。初対面の人には大体そう言われるけどネットでもそうなんだな。
俺の名前の苗字は愛衣羽に合わせてのんは愛衣羽が言い間違えた時にごまかせるように、自分の名前の頭文字からとって愛と名乗っていたから、俺も合わせようとして野の漢字から考えたが上手く思いつかなかったので愛衣羽に相談したらこうなった。口調もぼろが出ないようにそのままだ。俺は不器用だし助かる。
「これは姉さんの初配信だからね。姉さんの紹介をしていくわよ」
:ほう
:紹介の前にまず本当に女か?
:性別が分からない
:姉さんってことは女なんだろうけど声が
「あーその話ね。姉さんの声は中性的すぎるけどれっきとした女よ」
「え? 俺男だと思われてんの?」
少しショックだ。俺に告白してきた奴らも俺のことは女だと認識していたから、男だと思われるのは初めてだな。
:一人称俺じゃん
:やっぱ男?
:いやでも女って
:むしろ男であって欲しい
「は? 最後の奴なんつった?」
こいつ……俺に男であって欲しいだと? ふざけんな、俺が男だったらこの年だともう一緒に愛衣羽と風呂入ったり一緒に寝たりできねえだろうが。
:怖いようで怖くない
:ただただかっこいい
:ボイス聞いているみたい
:やっぱ男でよくない?
「なあ愛? こいつらいつもこうなのか?」
「ええそうよ、今後姉さんは男として扱われる覚悟をしておいた方がいいわ」
「嘘だろ……」
人の性別を自分の好みで勝手に決めるのかよ、やべえな。それで俺はこれから男って言われるかもしれないのか。嫌だけど覚悟はしておくか。
LAI:違いますのん様は女です
:LAIママ出てきたな
:ママもよう見とる
:LAIは女派か
「女派ってなんだよ、俺は正真正銘女だ」
こいつらマジ人の性別を何だと思ってるんだよ。
:まあ今は性別への配慮も大事だしな
:VTuberには性別無い人もいるしね
:だからって俺らが性別決めて言い分けないだろw
「はいはい、LAIママも来たし姉さんの紹介そろそろちゃんとやるわよ」
「あ、そうだな」
完全に今の流れで忘れてたけどこれ俺の紹介のためにやっていたんだったわ。愛衣羽が止めてくれなかったらこのまま性別の話だけで長時間話すとこだったわ。
愛衣羽がパソコンを操作して俺のプロフィールを画面に出してくれる。
◇◇
名前:人形 のん (ひとかた のん)
身長:180cm
体重:教えるかバカ
誕生日:1月10日 (山羊座)
好きなもの:酒 テニス 歌うこと
苦手なもの:辛いもの 真面目な雰囲気 怖いもの
愛より2年ほど前にLAIに作られた人形。愛同様成長するが、成長し過ぎてメンテナンスの時にLAIによって縮ませるか悩まされている。女なのに女にもてる。後からつくられた愛衣羽のほうが性能が高いため大体の事は劣っているが、愛からは姉として慕われている。
◇◇
プロフィールは大体リアルに寄せた。菊花は俺の使うイラストの別案や年齢別のイラストも沢山描いていたのは無駄になると思う。俺は別になんでも良かったけど愛衣羽が今の形にした。良く分からないがこうした方が今後の活動で便利なんだそうだ。
:縮ませるか悩むってw
:成長し過ぎてw
:確かに日本だと頭ぶつけるもんな
:愛はスペック高いから劣るのもしゃーない
「確かに頭ぶつことは無くなるな」
「そういえばそうね」
あまり考えていなかったけど縮んだ場合上を気にしなくていいのは嬉しいな。
「スペックは愛が高すぎるんだよ」
「そうね、自分でもそう思うわ」
俺も愛衣羽も自分の能力は自覚している。今更愛衣羽に勝とうとも思わないし、昔は愛衣羽も自分の才能が嫌で恨んでいたが今はちゃんと向き合えている。
:愛のスペックの高さは配信見てると良く分かる
:推理とかやってもほとんど止まらないもんな
:ミスするとこそうそう見ない
だろうな、愛衣羽は実家にいた時いろんな努力を俺よりも強いられてきたと聞いた。それに愛衣羽は天才だから、今の愛衣羽にできることはほんとに多いと思う。
:歌うこと好きって書いてあるけど今後歌は歌う?
:歌聞いてみたい
:この声の歌とか絶対惚れるわ
「歌は歌う予定だぞ。今後動画にして投稿するから皆聞いてくれ」
「そういえば姉さんの歌聞いたことないかも」
「あー確かにな」
俺が歌を歌うようになったのはバーのマスターに拾われてからだしな。あのマスターには他にもいろいろやらされたもんだ。
:愛も聞いたこと無いのか
:家族の歌って逆に聴かなくない?
:確かに
:家族でカラオケ行く家もあるわよ
「私も期待してるわ」
「おう、楽しみにしてろよ」
と言っても録音とか投稿の方法もまだよくわかってないから愛衣羽に聞かせるのは制作途中のものになりそうだけどな。
「さて、大体プロフィールについては触れたわね、じゃあ次に行きましょうか」
「そうだな」
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