第35話 烈風と太陽
一騎当千の剣士が揃った翼のレジスタンスはインセクターの大軍を各地で抑えていた。そこに天野あすかの奪還について漁夫の利を狙う『鳥籠』のバードマンの奇襲にもあった。この混沌とした戦場に、太陽剣士イーグルと烈風剣士コンドル。2人だけの空間、そして静寂がそこには確かにあった。
「近藤、この現状を見てもまだ個人の感情で戦うか。」
「お前達が離れている以上、こうするしかない!」
そう言うとコンドルは烈風剣と疾風剣、2つの剣を持ってイーグルに真正面に飛び掛かった。
「近藤!大局を見ろ!お前がこの空の下で守りたいものは何だ!そんなちっぽけなプライドではないだろう!」
「ちっぽけだと…ふざけるな!お前を超えることは俺にとっては十分すぎることだ!
すべてのバードマンを守る力と、あの人の理想を支える力!お前を倒せばそれがあることを証明できる!」
「不知火はお前が考えているような男じゃない!奴はバードマンの力をかざして人類を自らの管理下に置くつもりだ。」
「だったら何だ。」
「奴のやることは世界征服だ!」
「だったら何だ…!」
「そんなことに加担したところで、その先にあるのは破滅だ…!誰も救えはしないじゃないか!」
「物わかりの悪い奴!3つに分かれた人類の争いを終結させるための最善の策だ!より強い力を持つものが弱者を守る仕組みをつくろうとしているというのに!」
「その考えがおごりだということがわからないのか!」
互いの刀が当たる金属音が空中にはじけた。それと同時に2人は言葉もぶつけ続けた。ただ、そんな音たちをかき消す爆撃音が轟いた。
「な、なんなんだあれは…。」
地上に多大な炎を巻き起こしつつこちらに向かってくる極彩色の空中要塞が見えた。それは巨大な蝶の姿をしていることが遠くから見てもはっきりとわかるものだった。
「なんなんだあれはって聞いてるんだ…。」
「俺だって知らない。おそらく、インセクターの巨大戦艦だろう。」
イーグルはすぐさまその巨大戦艦に向かった。ただ、コンドルはそれを上回る速さでイーグルの前に回り込んだ。
「何をやっているんだ、どけよ…。」
「言っただろう。決着をつけると。」
「お前、状況が見えてないのか?目の前で無差別攻撃が始まっているんだぞ!」
「状況を見たからこそこうしている。すべてはお前のせいだ…!お前が『天使』を匿うからこうなるんだ!お前の…お前のせいだ!」
「わからない奴!」
「わからないのはお前だ!あれは『文明破壊システム』なんだろ!それをおとなしく差し出せばこんなことにはならなかった!」
「あすかだって人間だ!」
「人間じゃない!兵器だ!」
「彼女を兵器にしたのは誰だ!」
「うるさい!あの人の理想を阻むものは俺がすべて斬りおとす!」
「近藤ーーーーーーーーーーーー!」
「鷲尾ーーーーーーーーーーーー!」
その間も近隣の街は次々と獄炎に包まれていた。
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