第16話 翼のレジスタンス
隊長機ベルゼブブに変身した南風原(はえばる)隼人を中心としたインセクター第3番隊・双翅(そうし)部隊の総攻撃が始まった。敵兵はハエ型インセクター・フライ、カ型インセクター・モスキートの他にガガンボ型インセクター・クレーンフライ、アブ型インセクター・ホースフライ、ブユ型インセクター・ブラックフライが上空を飛び回っていた。モスキートやクレーンフライの吸血戦術は一度捕まってしまえば体内のすべてを吸い尽くされるためうかつに距離を詰められず、距離を置こうものなら他のインセクターに狙い撃ちされてしまう。
一見多勢に無勢に見えるがそこは一騎当千の『第1世代』とポテンシャルを秘めた『第2世代』、一般兵ならいくら来ようと物の数ではない。
「緑森剣!真空!飛燕斬!」
「月光剣、満月回転斬り!」
スワローとスワンはスピードを生かした戦術で敵をかく乱し、次々と斬り落としていった。
「流水剣!アクアドラグーン!」
「炎凰剣!熱波一閃!」
スワンの水、ホークの炎は活路を切り拓いた。
「高電磁フィールド!」
オウルのバリアーは敵のエネルギー攻撃を弾き戦士たちの盾となった。
「うおりゃああああああああ!大地剣!ハンマースイングアタック!」
地上ではオーストの無双が始まった。その名の通り大地剣を横に持ち鎖付きハンマーのようにぶん投げた。地面に刺さった大地剣に向かって走り続けたオーストは肩にぶつかるだけで敵を弾き飛ばし空中の敵には飛び蹴りをかました。
「太陽剣!」
そしてこの戦いの中心にいるのはイーグルだった。太陽剣で一人、また一人と斬りおとし遂に隊長機ベルゼブブと対峙した。
「太陽剣士とてこのベルゼブブの敵ではない!この槍が!貫く!貴様をっ!」
そう言って隊長機ベルゼブブは槍を天に掲げると、イーグルに向かって真っすぐ突き立てた。イーグルは間合いを詰めることができず、気が付けば地上に追いやられていた。
「もう逃げられないぞ。死ね!」
そのときだった。大地剣を猛ダッシュで取りに行っていたオーストのタックルでベルゼブブは大きく飛ばされた。その衝撃で槍が手から離れた。
「なんだこいつ!くそっ、槍が。」
「今だ!」
オーストの声を聞いたイーグルが両手で持った太陽剣を天に掲げると、そのままベルゼブブに向かって振り落とした。
「太陽剣!日輪南中落とし!一刀両断!」
必殺の一撃はベルゼブブにさく裂した。
「バカな…この俺が…隊長機の力を持ってしても敗れるというのか…。」
「…お前は力を過信しすぎた。」
「そ、そのようだ…。ただし…お前たちは先の大戦以上の混沌に足を踏み入れた。もう後戻りはできない…。ぐ、ぐおああああああああ!」
隊長機ベルゼブブは爆散した。
「もとよりそのつもりさ…。」
爆炎にそうつぶやいていたイーグルのもとにほかのバードマンとオースト、それに立川きょうだいとあすかがみんな駆け寄った。
「隊長機、倒したんですね。」
「ああ…。ただ今のインセクターの勢力は俺たちがかつて戦った時の比じゃない。」
イーグルが少し間を置いてから話した提案は全員を驚かせた。
「誰か撮影できるものは持ってないか?」
「タブレットでよければありますけど…どうするんですか?」
「『犯行宣言』をする。みんなはまだ剣をしまわないでくれ。立川も変身を解除するな。」
「おう…わかった。」
場所を変えて7人の剣士はイーグルを中心に横一列に並んだ。立川千鶴は三脚にタブレットを置くと、イーグルたちにOKサインを出した。撮影が始まった。
「俺は…。」
イーグルは剣を天に掲げ、高らかに名前を叫んだ。
「太陽剣士、イーグル!」
高らかに伸びきった声は100里先にも聞こえそうな勢いだった。
「バードマン、インセクターを含めたすべての人間に告げる。ただいまより俺はここにいる5人のバードマンと1人の装甲戦士とともにレジスタンスを結成する。俺たちに正義はない。彼らも大切な人や自然の生命や未来…それぞれ守りたいもののために立ち上がった。俺たちの活動目的はそれらを含めたすべての人間の自由を守ることにある。そのためには生命を脅かすインセクターの全ての隊長機、そして人類を監視して支配者を気取るバードマン代表・不知火翔の討伐を最終的な目標とすることをここに宣言する。彼らを倒し、全員が同じ空と太陽の下、誰もが平等で平和な国づくりを人間たちができるよう俺たちは戦うことを君たちとこの剣に誓う。」
最後に7人が扇形に並び、一人ずつ件を前に出した。
「太陽剣!」
「流水剣!」
「緑森剣!」
「雷光剣!」
「炎凰剣!」
「月光剣!」
「大地剣!」
「我ら!」
「「「「「「「翼の!レジスタンス!」」」」」」」
7人が剣を重ねて空に掲げたところで動画は終了した。
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