第14話 飛べない鳥
日本には3つの人種がいる。1つは鳥の力を有する鳥人(バードマン)、もう1つは昆虫の能力を有する昆虫人間(インセクター)、そして特殊能力を持たない人間(ベーシックヒューマン)。数年前のインセクターの人間界襲撃に端を欲した大戦以降、インセクターを退けたバードマンだったがその圧倒的な戦闘力に恐れをなした人間たちから徐々に『危険因子』として差別や迫害を受けるようになり逃れるように自ら造り上げた空母に乗り込み地上を離れた。その結果不知火翔を中心とした『中核派』がインセクターの駆逐とベーシックヒューマンの防衛を口実に『監視』を始めた。自ら造ったものを自らの都合で捨て去ったエゴむき出しのベーシックヒューマン達をいつでも葬り去れるように。一方で『中核派』から離れた者たちは独自の戦いを始めた。
それに対しベーシックヒューマンは自らが力を持たない分、強化アーマーや変身アイテム、自律型戦闘アンドロイドや生態兵器を次々と完成させた。しかし自らの手に負えない技術力を持った人間たちは同族間での戦争を次々と始めた。結果疲弊した人間たちはバードマンの排除には未だに至っていない。また、人間は誰しもバードマンに否定的なわけではなく、中には彼らと手を取り新しい世界を作ろうとする者もいた。
「兄ちゃん、できたよ。」
「これで俺たちの夢が叶うってことか…。」
「そうだよ。大兄ちゃんのバードマンになる夢が。」
「千鶴、陽太…俺のためにすまねえな。こんなことさせるために高専や大学行かせたわけじゃないのに。」
「謝らないで。私も陽太も自分で選んだ道、私たちの夢だから。だからこのアーマーで思う存分戦って。」
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オウル・島袋雷太も合流し『第1世代』が4人、さらにホークやクロウなどの成長した『第2世代』も集まったイーグルたちはバードマン中核派、インセクター、人間のすべてから目を付けられる存在となっていた。イーグルたちはインセクター第3番隊・双翅大隊のフライやモスキートの混成部隊の攻撃を受けていた。
「う、うう…うあああああ。」
「あすか!大丈夫だ、すぐに終わらせる!炎凰剣!火龍撃!」
「流水剣!フリーザードラグーン!」
「ギャアアアアアア!」
ホークの熱気とスワンの冷気で一気に戦力を削った。
「はああああ!超放電!」
オウルの攻防一体の戦いは敵を寄せ付けない。
「よそ見すんなよ。緑森剣!木葉隠れ!」
「どこだ?奴は…。うわっ!」
「よそ見すんなっつったろ…。」
スワローはスピードを活かし敵をかく乱する。
「月光剣!月面落とし!」
「ぐわあああ!」
「太陽剣!南中日輪落とし!はああっ!一刀両断!」
「キシャアアアア!」
そしてクロウとイーグルの剣技は敵を圧倒した。それぞれが自らのアビリティを活かし戦っていた。物量に差はあったものの少し押し始めていた。その時だった。空中で戦っていたバードマンたちにも聞こえるぐらい大きな足音がすごい勢いで近づいていた。
「うおおおおおおおお!」
その足音の音源は茶色いアーマーの戦士だった。
「あ、あれは…雷太さん、新しいバードマンですか?」
「いいや、あんなのは知らない。」
「ええ、第一あれには翼がありません。」
「でもあれってよぉ。」
「ああ、あれは我々を模して作った物かもしれない。」
イーグルの言う通り、そのデザインには所々バードマンを思わせるような箇所があった。羽がない分、ダチョウのようにも見えた。謎のアーマーの戦士は膝を曲げ、腰を下げるとバネのように跳んで大剣を振り下ろした。3体ほど、インセクターを巻き込むとそのまま大剣と一緒に地上に叩きつけた。大きな音の残響が収まると何か通信を始めた。
「こちらオースト、これから戦闘行為を…始めるぜ!」
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