ゲーム開発室、最前線 Ver.XXX
国内有数の人気オンラインゲームの開発室は、次のアップデートの話で揉めに揉めて居た。
今回は、優秀だが相当変人のきらいがある若手社員の出したアイデアを採用するかで開発・企画が頭を抱えていた。
「ゲームバランスを崩したいのか!!」
それは、あまりに強すぎる装備アイテムだった。パラメータ・ステータスを何もかも上げてしまうようなもので、端的に言って『俺TUEEE』をしたい願望が見え隠れしている。
若手は何も動じず応えた。
「流通量を限りなく少なくすれば良いんですよ」
しかし、部長は食い下がる。
「一部のプレイヤーを優遇するわけには行かないな」
「完全にランダムで配布されるようにしましょう。またこのアイテムには破壊不能も付けて、奪い合い……取引が活発になるようにもしたいですね」
「さらに上方修整すんの!?」
部長の声は素っ頓狂なレベルに達していた。
そしてアップデートは行われた。
試験的に配布されたのは、数十万人のアクティブなアカウントの内、たった5枠。
結果論だが、その装備によりゲーム内経済が活発になって、さらにゲームの人気は加速した。
「この装備、妙に強いけど」
「ゲームでオークションにかけたら、RMTしたくなるくらいの金が入ったんだがww」
「歩いていただけで盗賊プレイヤーに襲われる呪いの装備」
「防衛の下限は100人」
「200人で攻撃をかけて奪いに行こう、賭けになりそうだが」
その装備を維持するために大掛かりなプレイヤー集団・組織を作ったり、その装備を持ったソロが小規模のプレイヤー組織を壊滅させたり。
持つものも持たざるものも、闘争という名の金のかかる行いに身を染めていったのだ。
ゲームだけど。
無論、一番潤ったのは開発会社である。
One Gadget One Story 書い人(かいと)@三〇年寝太郎 @kait39
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