第12話

2階に上がると、1階での騒ぎを聞きつけたチンピラ達がわらわら集まって来たが、当たり前の様にサクヤに蹂躙された。


サクヤ、前より強くなってない?

チンピラの腕引きちぎってたし。


「さて、次は3階に行くぞ……」


俺達は階段を上がり、3階のフロアに入った。

3階は今までのフロアとは違い、大きなホールになっていた。


「よく来たな、椎名の娘の友人たちよ」


美雪さんのお父さんと同年代であろう中年男性が話しかけてきた。


「誰だ?」

「私は原田・マンカインド・義丹。『thee(中略)絶許団』の幹部の一人よ。どうやらテシウスは君たちに負けた様だな」

「ああ、あんたも幹部か……察しの通り、さっき倒したぜ」

「そうか……では、私も倒してみるがいい!」


そう言うや否や、原田は懐からサブマシンガンを取り出して発砲してきた。

俺達は回避するが、その間に彼は素早く距離を取った。


「おいおい、卑怯じゃないか」


俺が抗議するも、彼からは反省の色が感じられなかった。


「フン……何を言っている。貴様らも銃を扱っているではないか……ならば問題はあるまい」


そういうと今度はボウガンを撃ちまくってきた。

サクヤが避けている間に俺が駆け寄り思い切り殴ったが、まるで岩を殴っているかのように手応えがなかった。


「無駄だぁ!」


奴はそう言うと剣で斬りかかってきた。


「うおっ……」


俺は咄嵯に身を捻り、ギリギリでかわす。

だが、その後も執拗に攻撃してくるため、避けるだけで精一杯だった。


「くそっ……」


このオッサン、かなり強い……どうする? 真紅郎が加勢しようとするも、奴は巧みにそれを避けていた。


「ハァ……ハァ……」


真紅郎はテーザーガンを何とか当てようと試みてるが、上手くいっていないようだ。


「フッ……なかなかしぶといな……」


そういうと奴は俺に向かって剣を投げつけてきた。


「なに!?」


俺は驚きつつも、剣を避けるが……。


「もらった!」


俺が剣を避けると同時にサクヤが割って入り、原田の顎をメリケンサックを握り込んだ拳で殴り飛ばした。


「ぐはっ!」


原田は仰向けに倒れる。かなり効いた様だ。


「今のうちにトドメを刺そう……」


サクヤはそう言って倒れた奴に歩み寄ろうとするが、それを俺は止めた。


「待ってくれ……あいつには聞きたいことがあるんだ」


俺はそう言いながらゆっくりと近付いていく。


「なんだ……?」

「原田さん、聞きたい事がある」


俺は質問を投げかけた。


「お前らは何者だ? なんのために美雪さんを狙った?」

「フッ、今更答えると思うか?」

「思わないね……。だから力ずくでも聞かせてもらうぜ!!」


俺は金属バットを振りかぶった。


「…それを振り下ろす前に私の話を聞きたまえ」


俺はそのままの姿勢で原田の話を聞くことにした。


「我々の目的は、椎名の娘の誘拐だ。彼女は我々の計画に必要な人材なのだ……」

「なに? じゃあ最初から殺すつもりはなかったのか?」

「そうだ、最初は人質として使うつもりだったのだが、まさか返り討ちに遭うとはな……」「なら、なぜ俺たちを殺そうとした!?」

「それは……君たちが予想以上に強かったからだ……」

「それだけじゃないだろう!?」

「……」

「お前らの目的は何だ!?」

「フゥ……そこまで知りたいのであれば教えよう。私たちの目的……それは……」


原田は息も絶え絶えになりつつ、『thee(中略)絶許団』の目的を話した。



「…はぁ〜!?」


その内容に俺達は驚いた。


「そんなことの為に美雪さんは攫われたっていうのか……」

「ふざけんな! テメーらのせいで美雪さんがどれだけ辛い思いをしていると思ってるんだよ!!」


原田の話ではこうだ。

快楽殺人鬼の実子を動力源に発動する永久機関(?)の開発に成功した科学者をあらゆる手を使って篭絡したので、その彼らが最も素性を知り得てる元同志の娘の美雪さんを狙いエネルギーを発生させる…との事だった。


「ふざけんじゃねぇぞ!! クソ野郎どもが!!!」


俺の怒りは頂点に達した。

そして、金属バットを思い切り原田の顔面に叩き付けた。


「グハッ……」


奴はそのまま気絶してしまった。

俺たちは気絶した原田をロープで縛り、近くの物置に放り込んだ。


ここまで来たらもう後には退けない…俺たちは覚悟を決めるのだった。

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