第3話

一時間後。

公園から少し離れたファミレス。

俺は美雪さんと二人で食事をしていた。


「いやー、面目ないねぇ。女房の早とちりで襲われる事になったとは」

「ごめんなさいねぇ、いつもの調子で殺しそうになって〜」


二人は美雪さんのご両親らしく、丁重に謝られた。


「いえいえ…不用心に近付いた俺たちにも責任が…」

「誤想防衛で殺っちゃうのは一番あってはならない事だからね。いくらか置いとくから、うちの美雪と晩飯でも食べなさい」


そう言って美雪さんのご両親は少し厚めの札束を美雪さんに渡し、どこかへ去っていった。


「すみません…うちの両親いつもあんな感じで…」


美雪さんは恥ずかしそうに言った。

真紅郎は『急用がある』と言って走り去った。


…で、二人きりな訳だ。


「まぁ、仕方ないですよ。とりあえず何か頼みましょうか?」

「そうですね」


メニュー表を見ながら注文をする。

料理が来るまでの間、俺は気になっていた事を質問する事にした。


「そういえば、さっきはどうして助けてくれたんです?」


美雪さんは少し恥ずかしそうに言った。


「無益な殺生は破滅に繋がるので…私は殺人はおろか死体すら見たこともありませんが、それくらいはわかります」

「……優しい人なんだね。俺はてっきり『快楽殺人鬼なんて死んで当然!』とか言うタイプなのかと思ってたよ」

「確かにそういう人もいますけどね。私の場合は……誰かを傷つけるような人は許せないという気持ちが強いですかね……」


『快楽殺人』と『無益な殺生』の線引が分からないが、ともかく料理が来たので話題を一度打ち切った。食事中も話は弾んだ。

そして、気付けば俺は恋に落ちていた。

帰り道の途中、俺は告白した。


「好きです!付き合って下さい!」


返事はOKだった。


こうして俺は美雪さんとお付き合いを始めたのだ。

そして、バイト先兼溜り場の『ラ・ペディス』に一緒に通うようになった。

さっき話した物騒なレターパックはその日から一週間後に届いた。

真剣に美雪さんと交際しないと俺の命は無い。

あの美雪さんのご両親なら本当に俺がどこに居ようが見つけ出して確実に殺すだろう。

……そんな恐怖心をほんのり抱きながら毎日を過ごしている。

しかし、美雪さんは可愛くて優しくて……とにかく最高なのだ。

こんな可愛い子とお付き合いできるのだから、幸せだと思うしかない。

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