生か死か
第5話 必死に足掻いた
『人間』として生きていくには
純粋無垢な自分には
どうしたらいいか分からなかった
感情がなかった訳ではなかった
周りの子と同じように
『泣いたり』
『笑ったり』
『怒ったり』
『緊張して不安に思ったり』
『ワクワクして興奮したり』
『明日のことに希望を持ったり』
色んな感情を持った『普通の子』だった
親の支配を受けた自分は
全部の感情を抑えられて
毎日に『不安』と『絶望』することしか出来なかった
そんな中でも自分が人間として足掻いたことがあった
唯一したことは
『明日着る服を無くす』ことだった
バレないように外に服を投げた
明日着る服が無くなったら
困るのは母親だ
どうにか自分でするでしょう
と思った矢先だった
「これ、やったのあんたでしょ?」
「え?」
「あんた以外、誰がやんの?」
「え……そんなの知らない……」
「とぼけんな!!」
「……!!」
唯一出来た抵抗だったのに
それも無駄だったなんて
「ごめんなさい……ごめんなさい!!」
「いつもいつも、そうやって!!」
まただ
どうやったら『人間として』扱ってくれるんだ
数年後
まさか親に殺されかけるだなんて
この時の自分は思わなかったんだ
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