第6話 早く死にたかった

「早く死にたい」


家族といる度にそう思うようになった


誕生日の日にはプレゼントを用意して

母の日・父の日にもプレゼントを用意して

親が具合が悪かったら親の代わりをして

弟妹のストレス発散のためのサンドバックにもなって


『生きた心地がしなかった』


「いつになったら死ねるんだろ」


具合悪いと駄々を捏ねる親の代わりになって

反抗期の弟妹に付き合わざるを得なくって


そんな中で『自分自身を大事にする』なんて

出来なかったし出来るはずも無かった


「いつになったら人間として生きられるんだろ」


奴隷のように育てられたもんなのに


「……そんなの考えても無駄か」


そんな考えなんて一生持たない方が良かったって

今でも思ってる


「ねぇ!!早くご飯作って!!具合悪いからさぁ」

「……。」


我慢の限界だった

今まで何回も殴られ蹴られ

家から追い出されもした

けど……


「……じゃない」

「何か言った?」

「あんたのロボットじゃない!!あんたの道具でもない!!」

「はぁ?」



やってしまった


「はぁ?あんた誰のお陰でここまで育ったと思ってるの?」


こんな環境で

こんな親で

虐待を受けるくらいなら

『生まれたくなかった』のに


「はぁ……あんたなんか産むんじゃなかった」

「じゃお母さんが死ねばいいじゃん!!何でお母さんの世話ばっかしなきゃいけないの!?」

「はぁ?お前のことなんて殺してやるよ!!」


その後の記憶はあまり覚えてはない


グーで殴られたり

平手打ちされたり

足でお腹を蹴られたりした


「あんたなんか要らない、死ねばいい」


死にたかった

生まれたくもなかった

それでも

『生きたい』って思ってしまった


そうして

自分に向けられた虐待は

「半殺し状態」になっていったのだ

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