第9話 『助けて』は言えたのに

謝れば機嫌が治ると思っていた


母親の機嫌が治ると


「ごめんね」って言って抱きしめてくれる


まるで『何事も無かった』かのように


度を超えた虐待は

どれだけ謝っても許してくれなくて


「なんで言うこと聞かないんだ!!あんたなんか産まなきゃ良かった!!」


何回も殴られ蹴られ

首を絞められた


「痛い!!痛い!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!」


泣きわめきながらずっと謝り続けた


「謝ったって許さねぇよ!!」

「痛いよ!!痛いよ!!やめてよ!!」


この声は届いてるはずなんだ

『この家はおかしい』って気づいてるはずなんだ


けど『』んだ


この話を色んな大人に話した

けど結果は変わらなかった


『親がである以上、子が虐待を受けるのは


はぁ?


』というレッテルだけで心も身体も殺されかけなきゃいけない


そんなの……おかしいに決まってるじゃん……


「何回殺されかけたと思ってるの……何回殺されかけなきゃいけないの?『助けて欲しい』って言ったのに、どうして誰も『助けてくれないの』?」


今もどこかで

「痛い!!やめて!!ごめんなさい!!許してください!!」


泣き叫ぶ子どもの声が聞こえるかもしれない

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る