第2話 合流

崖に面している町があり、多少は賑わいを感じる。

そこに買い物をしている黒髪の少女と人型のロボットがいた。


「探せば意外と良い食べ物もあるのね。」


「ソウダネ、アルネ。」

ロボットにしてはわざとらしさがある話し方だった。


「普通に喋ってくれる?別に任務中ってわけじゃないし。」


平常運転を知っている彼女からすれば違和感があって仕方がなかった。

リズミカルな機械音が隣から聞こえる。収まると同時にロボットの口が開いた。


「そう!じゃあ僕のスーパーハイテク言語機能使っちゃおうかな〜!」

見て分かるようにこの機械、相当なお調子者である。少女は少しため息をつき目的地に向かう。


「もうちょっとで時刻だから急ぐよ」


「OK!任せな!」

ロボットは荷物を担ぎ少女と走った。


駅に列車が近づく、彼らは乗客から離れている。理由は2両目に乗るからだ。

彼らもまた青年たちの仲間である。


列車に入ってすぐ黒髪の少女とロボットは同時にそれを見た。


「「ん〜?誰?」」


見知らぬ少女が休憩室で寝ているのだから無理はない。


「おかえり」

顎髭のある男が出てきて言った。


「ただいま戻りました。休憩ですか?」

「ああ、今さっき自動運転に切り替えてきたとこ。」

「たっだいま〜所長!」

ロボットの横腹を黒髪の少女は小突いた。そして所長と呼ばれていた男に問う。


「この子は誰なんです?」

男は顎髭を撫でながら少し考え言った。


「それはナガメに聴くべきかな?」

青年はどうせ信じないと思うけどと前置きをして答えた。


「海の落下物見てきたらいたんだよ。おそらく人間。」


絶句する二人だった。ロボットに至っては顎のパーツが外れて床にゴトンと落とした。

すると少女は起きて眠そうなの目を擦っている。


「人、増えてる。」


顎髭の男は思いついた。

「そうだ!自己紹介忘れてた!これから旅をするなら名前くらい知っておかなくっちゃな!俺は狩旗かりはた 犀藍さいらんだ。気軽にサイラン所長と呼んでくれ。」


他の者も慌てて後に続いた。


「私は神羽崎かみはざき れん!レンでいいよ!」


「Heart of Machineだよ!呼ぶにはクソ長いからHoMでよろしく!」


空久からひさ ながめ。ナガメは愛称です。」


サイランから君は?と尋ねられた。

少女は少し考え、何かを思い出すかのように静かに言った。


「私、ツボミ、山査子さんざし つぼみ。」








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る