1-2.
「そうだねぇ、ライバル……と言うわけじゃないけど、ひとつ後輩にひとりだけ対抗意識を剥き出しにしてた子はいたね。確か……
すると、お母さんも懐かしむように声を出す。
「あぁ、知ってる知ってるぅ。私の同級生にぃ、お母さんの後輩だった人の娘さんがいたわぁ。確か
それはまた偶然と言うか、下手すりゃ三代続けての可能性もありそうだけど?
あたしがそう言うと、お母さんは少し考えてから言ってくる。
「お母さんはぁ、割と早くに斗哉ちゃんを産んだからぁ、それから4年後に志乃が産まれてるから……ひょっとしてあるかもねぇ」
なんて楽しげに言ってくるけど……
いやぁ、『神之原』ってだけでゴリゴリこられるのはちょっと勘弁して欲しいなぁ。
こないだまで幼なじみで親友のリカリぃが、事ある毎に『神之原でしょう』とか言われてた。
けど、あれは敵意とかライバル視とかではなかった。もっとフランクな考えで、言ってみればツッコミみたいな?
そんな感じでこられるならウェルカムなんだけど……
と言うと、おばぁちゃんはまたカラカラと笑いながら言葉を出した。
「アリシアには国内でもハイレベルな子達が入ってくるからねぇ、癖が強い者の集合体のような所で私は楽しかったよ」
まぁ、確かに新しい出会いってちょっぴり楽しみなのは間違いないけど……ねぇ。
そう由乃に投げかけると、まぁ由乃らしいこんな答えが返ってくる。
「私はしぃちゃんさえ居れば、それでいいけどね」
そう言って、あたし左腕に頬を擦り付けてきた。完全に聞く相手を間違ってしまったようだ。
まぁいっかと思ったあたしは、次にこんな質問をしてみる。
「明日からアリシアに行くのにさ、何で入寮式はそれから4日後なのかなぁ? それまで新入生は何処に泊まるの?」
答えてくれたのは、お母さんだった。
「アリシア学園の最初の魔力測定試験ではねぇ、学園専用の訓練施設のある山奥の寄宿舎に泊まる事になってるのぉ。そこの訓練施設で4日間試験が行われてぇ、気のあった子がいれば入寮時に一緒の部屋にしたりとかぁ。でも確か去年改築したんじゃなかったかなぁ」
その後で、おばぁちゃんがニヤリと笑って言ってきた。
「あそこの宿泊施設は老朽化で一昨年取り壊されて、新たな宿泊施設が建てられたんだよ。それがまた凄い宿泊施設になってねぇ、あれはまるで三つ星ホテルの様な豪華さだったね」
実はおばぁちゃん、毎年秋になるとアリシア学園に出向く。そして、成績上位者に特別講習を行っている為に未だ学園の事に詳しいのだ。
まぁ詳しい理由はそれだけじゃないけど、その辺は別のお話という事で。
アリシア学園の寄宿舎は、あたしの住んでいる地元北九州市にある。にも関わらず、我が家から公共交通機関を使ったらアクセスの悪さから2時間弱もかかる山奥にある。
更に、そこから先の山奥に本校舎と寮があるなんて……
なるほど、『プリズン』と呼ばれるのも納得出来ると言うものだ。
そんな所に全国から女子だけでも240人の新入生がやってくるし、その殆どが1人で地元を離れてくる。
なのに、たった4日で気の合う子と巡り会えるのかなぁ……って言うと、お母さんが楽しそうに答えてくれる。
「それが割と見つかっちゃうのよねぇ。魔力の相性とかぁ、インスピレーションとかぁ。不思議だけど出会っちゃったたりしてねぇ。入寮する時は一人部屋になる子はぁ、まずいないのよぉ」
そんなもんなんだぁと思うこと暫し。左腕を掴む由乃の力が強まった。
「やっぱり私、しぃちゃんと行く。しぃちゃんと同部屋になる。しぃちゃんは誰にも渡さないもん」
と言いながら、頬をぷっくりと膨らませていた。
おばぁちゃんもお母さんもあたしも、そんな由乃に苦笑い。その後もまったりと談笑したり思い出話しで盛り上がった。
夕方になってお父さんが帰宅し、晩ご飯前に2人で思い出話し……
するハズだったけど、未だ左腕にしがみついている由乃も交えての思い出話となった。
本年度最後の、家族での晩ご飯を終えて、由乃と一緒にお風呂に入る。
由乃と一緒にテレビを見て、由乃と一緒にトイレに行って……
って、トイレくらいひとりで入りたいっつぅの!
すると由乃は、キョトンとした表情で言ってくる。
「ふぇ? あたしは気にしないけど」
いや、あたしは気にするから! なんなら大の方だから! くっさい方だから!
「それでもいいのにぃ」と、口を尖らせて言ってくる由乃を引き剥がしてトイレを済ませる。
その後で、由乃と一緒にあたしの部屋でお話しをしたり。と、今日一日を殆ど由乃と過ごした気がするのだけど。
でもまぁ、普段でも家にいる時はこんな感じだし。
とは言え、実はあたしと由乃は、物心ついた時から一緒に寝た事が殆どない。
それは何故かと言われれば。
まぁ、最低限の部屋の有効活用とでも言うべきか。おばぁちゃんやお母さんに寝る時だけは自室に戻りなさいと言われて、そこはちゃんと従ってるみたいだ。
ただ、今日だけは一緒に寝てもいいかなって思ったあたしは由乃にそう提案して暫し……
あたしを見つめながら沈黙していた由乃が、思いっきり飛びつく、そして気が狂ったように喜び始めた。
「きゃぁぁぁぁぁぁっ!!! しぃちゃん大好きぃぃぃぃっっっ!!!」
とりあえず、由乃を待たせてあたしは毎日恒例の、『プニッシュタイム』(あたし的には『こんにゃろうタイム』)をする為に、『こんにゃろう(プニッシュ)』を持ってトイレに入る。
前にも言ったが、この世界の『解縛式』を終えた女性は『プニッシュ』という神具をエチエチの中に差し込んで前後運動をさせ、子宮に溜まる『基本魔力』を押し出して体内に循環させなければならない。
何故なら、それを怠ってしまうと体内の魔力が濁ってしまう。そして、それ以降の生活に支障をきたしてしまうという『闇の魔女』の呪いを、何千年も前から血となって受け継がれているからだ。
あたしはいつもなら、独りエチでエチエチの中を潤わせてから『こんにゃろう』を差し込む。
だけど、今日は取り急ぎ循環を済ませなければならないので、トイレに駆け込み、『こんにゃろう』にローションを塗ってエチエチに差し込む。
━━━━━━━━━━━━━━エチエチ。
そして魔力が体内に循環出来たのを確認し、トイレを出て自室に戻った。
かなり
部屋の扉を開くと直ぐに由乃の突撃をくらった。悶絶しながらもベッドまでたどり着いたあたしは、由乃共々崩れるように寝そべった。
それからあたし達は、色んな話をした。
子供の時の話。おばぁちゃんの話。お母さんの話。お父さんの話、長男の斗哉の話、次男の莉弥の話。
家の話し、天照院学園の話と、いっぱいいっぱい話をした。
「あ〜〜〜あ、このまま朝なんて来なきゃいいのになぁ。そしたらずっとしぃちゃんとこうして居られるのに」
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