第6話 【R-15】浮気未遂① 4月16日
あいりへ何度メッセージを送っても 電話をかけても 返事が来ることはなかった。 メッセージには 既読がつくが、その既読もいつもより遅かった。
なんなんだあいりのやつ、週末あんなに頑張ってやったのに、よっぽど体調が悪いのか?
心配ではあったが、それ以上に仕事が忙しく、あいりのことばかり考えてはいられなかった。会議に出した企画案はいつも通り通らず、焦りはどんどん増していく。
金曜日の夜、あいりに体調とこちらにくるかを聞いたが返事はなかった。
生理かな? いつもあいりは生理中は会いたがらない。
ああ、疲れた。何しようかな。
そんなことを思いながらソファーでうとうとしているとスマホが震えた。
あいり?
手に取ってみると、あいりではなかった。メッセージは元カノの杏梨から。
杏梨: そうた、久しぶり。元気~?
こおりそうた: 元気だよ。どした?
杏梨: 久しぶりにそうたに会いたいなと思って。明日とか空いてない?
そうた: 大丈夫だよ。
杏梨: 家にいってもいい?
そうた: いいよ
杏梨: やった~、そうたの好きなハンバーグ作って上げるね。どうせろくなもの食べてないでしょww んじゃまた明日ね!
杏梨は去年のクリスマス前まで付き合っていた元カノだ。スタイルが良く背が160センチ位ある。顔も綺麗で美人なので、連れて歩くと優越感に浸れたものだ。
杏梨から仕事が忙しいからと別れ話をされてそのまま別れた。あいりの嫉妬を煽るために連絡きてると嘘をついていたが、本当になってしまった。
でも、俺をほっておくあいりが悪い。もう疲れた。どうでもいい。
こおりは眠りに落ちていった。
◆
ピンポーン
「そうた!痩せた? 久しぶりだね」
杏梨はそう言いながら、俺の家にずかずか入ってきた。昔のように冷蔵庫を開けて、買ってきたお酒や食材を入れている。
ばっちりメイクに、なめらかにウェーブしたロングの栗色の髪、整えられた爪はピンクに塗られている。七分丈のニットに膝丈のタイトスカート、スカートからはストッキングをはいた美脚がすらりと伸びていた。
杏梨は完璧な美人だ。とてもモテる。こおりより2つ下の25歳で大手企業の受付をしている。株を勉強して資産運用をしておりとても頭が良い。
別れ話をされたときは正直残念だったが、仕事が理由ではなく恐らくこおりよりも良い男に口説かれてそちらにいったんだと思い、手を引いた。杏梨にはあまり優位に立てない。こおりはあいりと一緒にいる方が心地よかった。
「杏梨、それでどしたの? 仕事は忙しいんじゃなかったっけ? 」
「そうた、私は平日勤務なの知ってるでしょ。仕事で疲れたから、そうたに癒されたくて会いに来たんじゃない? 」
艶やかな唇を弾ませながら、杏梨はこおりの手を自らの手で包んだ。
「彼氏に怒られるぞ」
少し高鳴る鼓動を押さえて牽制する。
「彼氏は別れたの。あの人、小さくて満足できなかったし、弁護士だからってなんか威張ってて疲れちゃった。私にはそうたの方が合ってるみたい。ねぇ、そうた付き合ってる子いないでしょ? もう一回やり直そうよ」
キスができる位に杏梨は顔を近づけて、上目遣いにそうたの顔をじっと見つめた。
こいつは自分が可愛いのを知っている。それを知った上でやってる。でも、やっぱ可愛い。
いやいや、俺にはあいりがいるし、仕事が忙しいのに2股は流石に面倒くさい。
葛藤の末、こおりは杏梨から顔を背けた。
「いや、彼女位いるし、杏梨と別れた後すぐ付き合ったんだよ」
「そうなの? どんな子? 可愛い? 」
「可愛いよ。大学生。肌はきれいだし、胸は杏梨よりあるよ」
わざと意地悪を言ってやる。プライドの高い杏梨には、自分が捨てた男に自分より若い女がついていたらショックだろう。
「……そうなの? でもそんな若い子じゃあ、そうたは満足できないんじゃない? 」
背けた顔を手で戻され、こおりは杏梨にキスされた。
「んんっ!」
杏梨から顔を背けようとするが、舌が絡み付いてくる。歯の裏側や唇の裏側を舐め回され、舌を吸われる。
杏梨は何でも上手なんだよな。舌でするのも、腰を使うのも。
こおりは拒めずに、そのまま5分程濃密なキスを交わした。
「そうた、大きくなったね」
杏梨がそうたの下半身に手を伸ばす。
「そうたの好きなこと全部してあげる」
チャックをゆっくりと下ろされる。
「そうたのが一番気持ちいいの、ねっ、しよっ」
甘い誘惑の言葉を耳元で囁かれた。
「7回位連続でしたこともあったよね。記録更新……する? 」
勝手知ったる部屋に移動し、杏梨はこおりをベットに押し倒した。
返事をしないあいりが悪い。
快楽の波に押し流されながら、こおりは杏梨の服に手をかけた。
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