第4話 選択肢 4月11日

 こおりが目を開けるとそこは自宅のベットの上だった。


 あいりを殺す?


 リイトの声がする。

『奪われたくないのなら殺しちゃえばいいのに』

 にまーとあの不気味な笑顔が思い出される。


 いや、そんな、俺は人殺しなんて


 あいりを殺すなんて

 あいつ小さいから身体を押さえて首を――


 浮かんできた物騒な考えにこおりは頭をぶんぶんと振る。


 殺したところで『どっきりでしたー』とかなったら、とんでもない悲劇だ。いや、その場合はもしかしたらあいりもグルの可能性もある。


 1年後に本当に俺が消える保証なんてない。存在消去とか、どっかのSFでもないんだから、無理に決まってる。

 大がかりな心理実験かもしれない。


 とにかく情報が足らない。次にリイトが出てきたら、上手く聞き出さなければ。


 あいつとはどこで会った? 部屋? いや、俺の部屋じゃなかった。リイトの言葉ばかりに気を取られて周りを見るのを忘れていた。


 結局あいつは何なんだ?


 担当とかいってたけど、もしかして俺の他にも同じようなことになっている人がいるのか?


 いやいやいや、難しく考えすぎている。

 結局、どうなるかはわからないんだし、そもそも人生いつ死ぬかは誰にもわからないんだし、

 死んだ後に他の人からどう思われようが、自分が死んでるんならどうでも良くないか?


 こんなことで悩むこと自体がリイトの思うつぼなんじゃないか?


 笑っているリイトの顔が思い浮かぶ、間違いなくあいつは俺が悩めば悩むほど喜ぶだろう。


 いいだろう。あいつが何を言おうが、何しようが俺は気にしない。


 毎日好きなようにしてやる。

 次に会ったら、こっちが笑う番だ。


 ベッドサイドの時計をみる。今日は4月11日の月曜日、朝の7時半だ。


 こおりは起き上がり仕事に行く準備を始めた。


 ブーブー……


 テーブルに置かれたスマホが鳴る。


 4/11 7:33

 あいり:

 今日、病院いってくる

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