第3話

正義くんていう子も、帰り道、同じ方向やったから、一緒に自転車で帰るようになった。中学は違ってたけど、隣の市から自転車で通学していた。正義くんに帰り道に自転車に一緒に乗りながら「高校では何をやりたいの?」って聞かれて、「う~ん。そうやなあ。作曲してみたいかなあ。」って言ってみた。翌日、学校に行ったら、一美くんていう男子に朝、ノートの切れ端を渡されて、昨日の夜、正義くんから、私が作曲やりたいらしいから作詞して明日学校に持って来てくれへんかって頼まれたから、作詞して来たよって言われた。その日は学校で1日中、授業中もその作詞を読んでて、国語の時間にも、机の上に広げて読みながら、赤ペンで、作詞を直していたら、先生に見つかってしまって今の授業と関係ないことしてるって怒られたけど、国語なんやから良いやんかって思っていた。正義くんも一美くんも、必修クラブで同じ将棋部やったから、週1で一緒に将棋をやってる仲やった。

一美くんは理系っぽいんやけど、お笑いも好きそうで、一美くんとしゃべってると、いつも漫才みたいになってしまう。

ある日、英語の授業で、私が教科書読むの先生にあてられて、読んでたら、先生に「違うよ」って言われて、あっそうか、たぶんenergyの発音が違ってたんやなって思って、日本語的なエネルギーの発音でなく、最初のeにアクセントを置き直して、最初のエをめっちゃ強く読んでエネルギーって言ったら、みんなに大爆笑されて、特に一美くんがめちゃめちゃ笑って喜んでて、紙を丸めて、私にぶつけてきて、あほな高校生やんって自分で思ったけれど、英語の授業で笑かすこと出来て良かったやん凄いやんって思った。英語の先生も、毎年誰かenergyの発音で引っ掛かるんだよな~って感じで笑ってて、私をあてたことに、どや顔で、してやったりって感じやった。最初、先生が私を指名した時から、ニヤニヤしていたから、何か怪しいなあ~って思ってたんやけど...まさか、そういうことやったとは。

バンドやっててドラムのめっちゃ上手い蒲田くんに、学校で良く胸をムギュッていきなり触られて、そんなにはないんやなあって言われて、失礼なっ あるよって思った。でもドラムめっちゃ上手くて、どんな感じのドラムも上手に弾けるから、なんでそんなにどんな感じにでも弾けるんやろっていつも思ってて、宇宙でいちばん好きなドラマーかもなあって思って、高校生やのにプロやんって思ってたから、胸をいきなりムギュッと優しく触られても、実のところは、めっちゃ嬉しかった。

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