第2話

ある日のこと。

それは、今にして思えば俺とステータス画面との仁義なき戦いの火ぶたが切って落とされた日といえるだろう。

俺は何気なく、一人のクラスメイトのステータス画面を見ていた。彼の名前は春日井かすがい公太朗こうたろう。彼はクラスではソコソコ目立つ存在で、時折ほかのクラスメイトと騒いでいる。俺はたまに一緒に騒ぐことはあれど、大概それをぼんやり眺めて楽しそうだな…、なんて思っている側。


――――――――

名前:春日井 公太朗

性別:男

身体能力:B

――――――――


俺は、ふと公太朗の公は光とか幸ではないんだろうと思い、ステータス画面の名前を何気なく凝視していた。彼はイメージとしては光とかの方が似合いそうなタイプだ。

すると、ステータス画面に新たな画面が現れ、こう表示された。


『名前の由来は某人気アニメーションのハムスターの名前から来ている』


これを見た時、思わず噴き出してしまったが、俺は悪くない。

周囲のクラスメイトには不審な目で見られたが、新たに表れた画面の方が重要だった。

後から知ったが、いわゆる鑑定画面を鑑定する二重鑑定という裏技のようなもので、鑑定系能力者はある程度能力を習熟してくると唐突にできるようになるらしい。例えば机を鑑定して出てきた結果に木材とあったとする。それをさらに鑑定するとどこの産地か、どこで加工されたのかとかが分かるそうだ。

ステータスはその人が知る、知らないに関わらず、真実を表示する。

鑑定系の能力は基本、世界に記録されている情報にアクセスしてウンタラカンタラと言った話を、テレビでしていた。


後に、俺は彼に名前の由来を聞く機会があった。しかし、ステータスに表示されたものとは全く別の理由を述べていた。


俺が彼の名前の秘密を誰かに告げる日は来ないだろうが、この日見たことは忘れることにした。

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