ステータス画面との仁義なき戦い
天木 るい
第1話
世界には百人に一人の割合で特別な力を持った人間がいる。
彼らは遅くとも二十歳になるまでに
能力者の十人に一人が使える能力者で、二人くらいがそこそこ使える能力者。三人くらいが多少使える能力者で、残り四人くらいがあんまり使えない能力者。上から順に一等級、二等級、三等級、四等級と分類されている。
そして俺は三等級に近い四等級能力者だ。
ステータス画面が見えるようになったのは、本当に突然だった。
その日、俺は我が家のアイドル、猫のクロと日向ぼっこを楽しんでいた。リビングの陽当たりのいい場所で、何も考えずのんびりゴロゴロとしていた時のこと。
視界の端でクロが動き、そこはかとなくクロを見た。伏せるように寝ていたクロが寝返りをうつ様子を眺めていると目の前にパッ、と現れたのだ。
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名前:クロ
性別:オス
身体能力:A
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思考が停止した。
意味もなく手を伸ばすが、それには触れられない。
「え、なにこれ」
ホログラムの様なそれは、俺が思考停止している間に消えた。
それが、俺の
始めに感じたのは高揚。俺にも特別な力があるということに舞い上がった。
が、すぐにその高揚は鳴りを潜めため息に変わる。
幸い鑑定系の能力であることは発現した際に分かっていたため俺は周囲を鑑定しまくったのだ。
まずはクロ。再度彼を見つめた…、が何も起きない。再度クロを見つめる。先ほどのホログラムをイメージして。
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名前:クロ
性別:オス
身体能力:A
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「おお!出た」
どうやら見つめるだけでは
大概の
「俺、天才じゃね?」
なんて、自画自賛しつつ、床、天井、机、テレビ。周囲のありとあらゆるモノを見まくった。
……が変化なし。
そして、
対象は生物のみ。
見れるのは、名前、性別、身体能力値…これはおそらく総合値。
以上。
「しょぼい」
それが正直な感想だった。
「鑑定能力無双とか、やりたかった…。見ただけで弱点看破とか!秘めた才能を見抜くとか!骨董品の価値を見抜いたり、呪いを見破ってみたり、俺だけ開け方がわかる特別な金庫をあけるとかしたかった!」
特別な力で、俺すげぇしたかった。
それに尽きる。
とりあえず、俺は
今後に期待……しておこう。
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