第116話 私が一番リードしているんじゃなかったの?

 最初は少しだけ不安であった莉音もなんだかんだで蛍を乱獲せずに楽しんでくれているみたいで一安心である。


 しかしながらそれと同時に美咲と彩音、彼女達からのプレッシャーを強く感じるようになった。


 ここは気付かない振りして無視を貫き通したいのだが、それが許されるのは物語の主人公だけであり、所詮は主人公のライバルないし悪役というポジションである俺が良く見るラブコメの主人公がやるような唐変木ムーブをした場合命の補償は無い可能性が高い。


 しかも俺に関しては普通に死亡フラグが転がっているキャラクターであり、何も考えずにただ『面倒くさいから』という理由だけでこのイベントを無視した場合、それが死亡フラグだったというパターンだってあるのだ。


 俺の行動一つので生き死にが決まる為、普段の行動、特に彼女達が絡んでいる行動に関しては特に気を使うべきだろう。


 それに、ここまで面倒くさい状況になった原因は俺が死亡フラグをおそれてあやふやな態度を取り続けてしまったというのも大きいためある意味で自業自得ともいえる。


「なぁ、昨日の美咲と告白の件なんだけどさ……少し離れた場所で答えを一人一人ちゃんと返そうと思うから、準備ができ次第俺がスマホで連絡するから、俺からの連絡が着たら美咲から一人ずつ俺の所に来てくれないか?」

「わ、わかった。 昨日の今日で私の心の準備はまだ出来ていないのだけれども、告白した時と比べればどうって事ないわ……。 あと美咲さん……昨日の夜も話し合ったけど、これでどちらかがフラれても恨みっこ無しで良いわね? ま、まぁ私の場合は? フラれたとて婚約者ですから? たとえフラれてもダメージは少ないですから? べ、べべべべ、別にフラれても良いんですけどね?」

「ええ、そうですね。 たとえどちらかがフラれたとしてもこの関係は壊したくないと、私も思っております。 ですが、例え私はフラれたとしても裕也様の側仕えとして一番近くで裕也様とこれからも過ごしてまいりますので。 わ、私が祐也様と一番長い付き合いなのにとか……少しは思うかもしれませんが、近すぎて異性に見えないというパターンもありますしね。 その場合は今まで異性としてアピールして来なかった私の責任でもあると素直に受け入れ、そして次こそは裕也様の気持ちを射止める事が出来るように一番近くで攻めまくるのみです」

「へ? はい? こ、告白? お姉ちゃんと犬飼さんが? 昨日、祐也に? え? 嘘? 私が一番リードしているんじゃなかったの? そんな事って……お、おいてかれちゃうっ!! 祐也っ!! 待ってっ!! わ、私も裕也の事が好きっ!! 今までトゲトゲした態度しか取ってこなかったから気付かなかったどころか嫌われていると思われていたかもしれないけど、私も裕也の事が好きなんだけどっ!! だ、だから……その……急だけど……周りに流されてしまったムードも何もない告白になってしまったけど……この私の気持ちは本当だし、今の裕也の気持ちを知りたいから、教えて欲しい……っ」

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