第115話 ……んん?
彼女達の感情のパラメーターをゲームのように覗く事が出来れば管理もまだ楽なのだろうが、リアルだとそれもできない為常に気を使って接しなければならないのでかなり大変である。
それでも彼女達の笑顔を見ると、その苦労も報われるような気がするのだから不思議だ。
「とりあえず、日が暮れてしまう前に蛍が見えるスポットへ行こうか」
そんな事を思いながら俺は彼女達頭を撫でるのを止めて蛍を見に行こうと言う。
日が暮れてからは持参したライトだけでは危ないので早く行くにこした事はないだろう。
訪れた場所は茂さんの知合いが管理している田んぼの農業用水路であり、今日の為に農道の使用許可を得ているとのこと。
因みにその水路はコンクリートでできているのだがそのコンクリートは蛍の生育に適した加工をされているコンクリートを使用しているようである。
その水路の上の農道の隅へシートを敷き日が暮れるのを待つのだが、既に現段階で数匹の蛍がぽつぽつと飛び始めておりピーク時である十九時半から二十時が訪れた時の期待値が膨らんでくる。
「まだ数える事ができるくらいしか飛んでないのだけれども、これはこれで幻想的ね……」
「本当ですね。 しかも裕也様と一緒にみれるだなんて……まさか私にこんな日が訪れるとは夢にも思わなかったです……」
「あっ、その蛍捕まえれそうっ!! ちょっと捕まえて来るっ!!」
そして現段階で女性陣の内の二人はこの景色を楽しんでいるようでなによりだ。
若干一名はじゃじゃ馬娘を発揮して蛍が飛ぶ景色を楽しむ事よりも蛍を捕獲する事に夢中になっているようなのだが、その気持ちも分かるので各々好きなように楽しんでほしい。
それに、ピーク時には座っているだけで向こうから飛んできてくれる程の数が飛び始めるようなので、その時になれば某一名のじゃじゃ馬娘も大人しくなるだろう。
流石に前世でまだ小学生時代の俺が夏休みに虫籠一杯になるまでセミを捕まえてきたかの如く手当たり次第に蛍を捕まえるなどという事はしないであろう。
……しないよな?
そして辺りはセミの鳴き声からカエルや虫たちの音色へと変わっていき、そして完全に泣き声がセミから移り変わたあたりから蛍の飛ぶ数も一気に増えて行く。
「これは凄いな……」
「少ない時もそれはそれで詫び錆びがあり綺麗だったのだけれども、やはり多い方が凄いわね……。 そして、告白するには絶好の景色……期待しても良いのかしら?」
「これは、きっと蛍も私と裕也様が付き合う事を啓示と祝福しているのでしょうっ!! みんな、祝福してくれてありがとうございますっ!!」
「これが……裕也が私にどうしても見せたかった景色なのねっ!! まったく、態度ではそっけないけど何だかんだで私にべた惚れなんだから」
……んん? ちょっと女性陣が何を言っているのかいまいち分からないのだが?
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