第113話 真の姿

「ま、まったくっ! そこまでして私の隣に座りたいというのならば初めからそう言ってよねっ!!」


 そして莉音がそう言った瞬間俺の両隣に座っている美咲と彩音から殺気を感じるのだが気のせいだろうか?


「あら、莉音が言っている事は本当なのかしら? 祐也さん……」

「莉音さんはそう言ってますが、裕也様はどう思っているのですか?」

「まさか、私の隣に座りたくないなんて事を言うんじゃないでしょうね?」


 いやもうこれどう答えるのが正解なのか教えて欲しいくらいである。


 どう答えても美咲と彩音の二人を怒らせるか莉音一人を怒らせるか、三人全員を怒らせるかしか選択肢が無いようにしか見えないのできっとこのゲームはクソゲーに違いない。


 普通に考えて無理だろこんなの。 むしろ無理ならば無理で逆に諦めもつくと言うものである。


「可愛くて美人の三人に言い寄られて、俺は幸せものだな」


 なので話題を変えてとりあえず褒めておき有耶無耶にする作戦をとる事にする。


「そ、そんな褒めても何も出ないわよっ? で、でも今日は期待して良いんだよね?」

「ゆ、祐也様……これはもう両思いではないでしょうか? と私は判断しましたっ!」

「お、お姉ちゃんという婚約者が目の前にいながら、わ、私の事を綺麗で美人で可愛くて大好きだなんて……時と場合を考えなさいよバカっ!!」


 うん、とりあえず目先の爆弾は処理できたようであるのだが、その代わりにとんでもない爆弾を設置してしまったような気がしてならない。


 あと、若干一名はすぐにでも耳鼻科に言って耳を診てもらった方がいいと俺は思う。


 だが、今を生き抜く事はできたみたいなのでとりあえずは良しとしよう。


 そして、何とか莉音は一つ前の席に座ってくれた為俺の膝の上に平穏が戻ったのだが、それでも両隣には美女二人がピトッと俺にくっ付いており、何ならお胸様も押しつけてくるので俺の御神体はいつでも戦闘準備は万全である為、気を抜いた瞬間に俺の御神体はその真の姿を表し、股間にテントを張りかねないのでピンチである事には変わりない。


 だというのにバスが走っているのは山道であり、当然舗装された街中の道路を走るのとは違い左右に揺れ、その度に女性の柔らかな部分を明らかにわざと押し付けてきやがるのでタチが悪い。


 これで俺の精神までもが年齢と同じ十六歳の精神であったのならば間違いなく理性の効かない猿となっていただろう。


 というか、美咲と彩音で地味に胸を押しつけてマウントを取っているような気がするのだが、その事を注意するのもそれはそれで意識しているというのがバレる可能性がある為注意できないでいる。

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