第111話 フラグ立ちまくり

 とりあえずこんな状況で某身体は子供の高校生名探偵やじっちゃんの名前をかけまくる高校生探偵がこの場に居たら絶対これらの毒を使って誰か死亡するな、とか思ってしまう。


 山の中の別荘というのもフラグ立ちまくりである。


 そんな事を想像しつつ二時間ほどで山頂へ着くことができた。


 とは言っても別段絶景というわけでも街が見渡せるわけでもなく、ただただ目の前には山が広がり、遠くの方で街がうっすら見えるという感じなのだが、しかしながらそれでも山を登り切ったというのはそれだけでも爽快感や達成感というものを感じる事ができる。


 それは女性陣も同じようで、皆いい表情だ。


 そして、疲れた身体に栄養という名の昼食を取って休憩を一時間程取る事にする。


 自分の足で登り切った山の頂上で食べるお弁当は、普段食べるお弁当とは違って格別に美味しく、このために後日また登山をしてみようという思えるくらいにはいい体験であったといえよう。


 下山時には少しだけ時間も余った為沢でサンショウウオを探してみたり(結局見つからなかった)しつつ夕暮れ時の少し前、午後三時ごろに別荘へと帰って来て一度お風呂で登山の時にかいた汗を洗い流し、幼稚園児の送り迎えなどに使われるような小さめのバスへと乗ると山の麓まで蛍を見に山をくだって行く。


「ねぇ、私は何も思ってないんだけどどうして一番後ろの席でお姉ちゃんと犬飼さんが祐也を挟み込むように座っているのよっ?」

「え? 私は裕也さんの婚約者だから裕也さんの隣に座るのは当然でしょう?」

「ぐぬ」

「わたしは裕也様の側仕え・・・ですから、裕也様のお側にいる事は当然です。 それが私の仕事ですから」

「ぐぬぬっ」


 そして小さめのバスの中では美咲と彩音の席について莉音がモノ申しているのだが、返す刀でバッサリといい言い返されてしまっている。


 というか今日一日莉音は『ぐぬ』しか言ってないような気がするのだが気のせいだろうか?


 まぁ、女性三人でガールズトークに花を咲かせようと思っていたのに俺というイレギュラーが二人の真ん中で陣取ってしまわれてはそれもできないと、遠回しに抗議してきているのだろう。


 その気持ちも分かるのだが、だからと言って何故莉音は俺の膝の上に座ろうとしているのか。

 

 これは注意しても『あ? いたんだ。 あまりにも存在感が無かったからいないものかと思ってしまったわ』とか言われるやつではなかろうか?


 しかしここで面倒くさいと黙ってしまうと、俺への当てつけがさらにエスカレートしていくのは目に見えているのでここは男らしくビシッと言ってやるべきだろう。

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