第110話 ぐぬぬぬっ
そんなこんなで俺は配膳された朝食を食べ始める。
今日の朝食はここで養殖されたニジマスの塩焼き、卵焼き、納豆、焼きのり、煮物にみそ汁とまさに日本の朝食といった内容である。
そして俺達は朝食を堪能し終えた後、今日の予定を話し合った結果登山をする事となった。
登山の装備もここに全てある為、後はその装備を準備して出発するだけだ。
まぁ登山といっても有名な山でもなくそこら辺にあるような山である為観光地化した山と比べれば観光スポットも無く物足りないのかもしれないのだが、山を歩くという体験だけでも有意義な時間だと俺は思う。
ちなみにこの別荘の強みの一つは、着の身着のまま来たとしても着替えや水着、登山用の装備一式が常に数人分備蓄されている為山や川を堪能できるという点である。
そして茂さんのお陰で常に清潔な状態で保たれているというのも大きい。
とりあえず目立った観光地はないものの頂上には開けた場所はあるのでそこでお昼を食べ、戻って来たら蛍でも見に行こうという流れなのだが、蛍に関しては山の麓付近が地元民だけが知る穴場スポットがある為、そこまで降りる時間も考えて早速登山の準備を始めて頂上へ向け茂さんの案内の元出発する。
「ねぇ見て祐也っ!! これ美味しそうじゃないっ!?」
「それテンナンショウじゃねぇか。 毒あるから食おうとすんなよ?」
「ぐぬっ……でもこちはブドウみたいで美味しそうっ!!」
「いやヨウシュヤマゴボウでそれも毒あるわ」
「ぐぬぬぬっ」
「ならばこれはどうっ!?」
「残念だがそれナンテンだから毒あるぞ」
「ぐぬぬぬぬぬっ!!」
「むしろキイチゴとか野イチゴとか食用にできる種類の桜の実とかグミの実だとかクワの実だとかそこらへんに生えている季節物の果実全てスルーして何でピンポイントで毒のある実を見つけて来るんだよ、 むしろそっちの方がスゲーわ逆に。 しかもテンナンショウとナンテンに関しては実る季節も思いっきりズレているのに良く見つけたよまったく」
「ぐぬぬぬぬぬぬぬっ!!」
「ほら、あそこにキイチゴが成っているから摘んで来たら?」
「べ、べつに感謝なんかしないんだからねっ!! ……これあんまり味しないわね、でも美味しいかも?」
「まぁ流石に市販のベリー類と比べたら流石にな」
登山道に入って半時間、莉音が良く分からない能力を発揮して毒のある実ばかり見つけては食べようとするのでその都度止めに入るのだが、季節外れのものまでどうやって見つけ出すのかと不思議である。
ある意味これは死亡フラグはまだあるという演出ではなかろうかと思えば季節外れに実っているのも納得がいく。
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