第44話 やばすぎる
◆
「ただいま」
今日は西條の野郎とその金魚の糞の犬飼に散々な目に遭わされて気分は最悪である。
こんな時だからこそ女を襲って気分転換へと行きたい所なのだが犬飼に潰された股間が痛くてそれどころではないので今日は一旦部活にも顔を出さずに帰る事にする。
そもそもこんな痛みを抱えて部活などできるわけがないし、保健室やそれこそ病院など、どう説明していけば良いのか。
この俺が、ボクシングの国体三位の俺が素人を犯そうとして、不意打ちではあったものの股間をやられましたと言える訳がない。
その為女を襲う事も、部活に顔を出して身体を動かす事もできない為この苛立ちを解消する手段もなく怒りでどうにかなりそうだ。
なんなら痛みが引くまで学校を休む必要がありそうである。
ここまで考えた所で親の返事が返ってこない事に気づく。
「ちっ! ふざけやがってっ! 親まで俺を馬鹿にしてんじゃねぇぞっ!」
そして俺は怒りのまま親がいるであろうリビングの扉を勢いよく開く。
「遅かったな」
そこには何故か西條祐也と両親がおり、西條祐也は俺の両親を差し置いてソファーに座り、両親はソファーの前に置かれた座卓を挟んで二人並んで床に座っていた。
そして俺の両親は、俺に向かって激しい怒りが篭った目で俺を睨みつけてくるではないか。
「っ……さ……西條ぉぉぉおおっ!! どの面下げて俺の家に来てやがるっ!!」
その両親の目線に少しだけ怯んでしまうのだが、それよりも俺は西條祐也に対する怒りの感情の方が大きく、気が付いたら西條祐也へと殴りかかっていた。
「腐っても国体三位のお前がくること分かっていて何も対策せずにソファーに深く腰をかけている訳がないだろう? その頭は脳味噌じゃなくて筋肉が詰まってんじゃねぇの? 病院行った方が良いぞ」
「ガフッ!?」
「この運転手である田中がいる限り、祐也おぼっちゃまに危害を加えられるとは思わない事です」
「良くやった、さすがボクシングで昔国体を三連覇しただけはあるな田中。 グローブを着けていないにしろボディーへ一撃入れるだけで腐っても現役選手が床を吐きながら転がっているのを見るにまだまだ現役で通用するんじゃない?」
「ありがとうございます、祐也ぼっちゃま」
なんか西條の野郎が、俺を殴った男性と話しているのが聴こえるのだが、今は痛みでそれどころでは無い。
なんだこのパンチは。 やばすぎる……っ。
「おい、いつまで腹抱えて転がってんだよ。 これじゃ会話が出来ねぇだろうがよ」
「情けない。 これが国体三位とはボクシングのレベルも落ちたものですね。 それとも貴方のブロックがたまたま弱い人で固まったブロックだったとかですかね。 立ちなさい。 みっともない」
そして俺を殴った奴が俺の髪の毛を掴んで無理やり立たせ、そのせいで髪が抜ける新たな痛みが俺を襲う。
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