第11話 両親を呪った
「いや、なんで締め殺すんだよ。 もうそれ意味分からんわ」
「あら、西條がツッコミするなんて珍しいやないか。 まぁ、今回ばかりはウチらが全面的に悪いワケやし、ツッコミもしたくなる気持ちも分かる。 それと東城にはウチからよー言うとくから、ウチが言うのも何やがここは矛を治めてくれんか?」
東城が怒りに任せて再度俺に殴りかかって来ようとした瞬間、教室から一人のエセ関西弁を喋る女性が出てきてそのまま東城を抑え、病院へ連れて行くと言うではないか。
このエセ関西弁の女性なのだが、名前を南川翔子で、エロゲ『永遠の愛を誓って』のヒロインの一人であり、ツンデレ男勝りの友達系ヒロインである。
悪く言うとアニメ化されるとサブヒロインであり負けヒロインとも言われる立場のヒロインであるのだが、そこはエロゲ。
ゲーム内では南川翔子はちゃんと攻略キャラクターに入っている為、ルートがある時点でこの世界では十分勝ち組ヒロインだろう。
ちなみに彼女がエセ関西弁なのは出身が高知であり、方言丸出しだと言葉が通じない場合が多々ある為比較的まだ標準語よりかは喋りやすく、意味も通じやすい関西弁にシフトしているのだが、土佐弁独特の訛りまでは完全に消せずにエセっぽさが出てしまっている、とエロゲの説明書には書かれていた。
なので感情的になったときや夜の体操の時などは土佐弁が出てくる。
何故それを俺が知っているかと言うと、当然南川翔子のルートも経験済みだからである。
それも一度や二度ではない。
何回もだっ!!
自慢ではないがこのゲームはやり込んだからな。
やり込むという事はそう言う事なのだ。
何だろう。 『やり込む』が卑猥な意味に思えてきたんだが。
「何や、ウチをそない見つめて。 惚れてもうたんか? でもアンタには既に北条さんがおるんやろ? 残念やったな。 もう少し早くウチの良さに気づく事ができればウチと婚約出来たかも知れへんのにな。 まぁ、逃した魚は大きかったちゅー事で」
「いや、別に。 ただ南川が常識的な行動と発言をする姿が珍しかったからな」
「あ、なっ、う、うるさいなっ!! それ言うたらお互い様やろっ!! あぁーもう調子狂うわ。 ほら、圭介も今回ばかりはアンタが悪いわけやし、そんなに睨まんと。 それよりも頭打ったんやから救急車が来るまで横になって大人しくしとき。 うちが膝枕してあげるから」
ゲーム内ではあるが、南川とそういう行為をしていたシーンを思い出していたせいで変な空気になりかけたのだが、何とか俺は誤魔化せたみたいである。
そして南川は付き添いとして東城と一緒に救急隊員と共に救急車に乗り込み、病院へ行く。
結果、今日の授業はうるさい奴も、俺に敵意剥き出しで挑んで来る奴も居らず、最高に平和だったと言っておこう。
◆
西條と婚約が決まった時は、私はこの世の終わりかと思ったし、両親を呪った。
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