Episode.4

「着替えたらすぐにご飯用意するから、ちょっと待ってて」


 スーパーで買った食材を冷蔵庫に詰め込みながら、蒼空そら颯汰そうたに言った。


「そうだ、蒼空。じゃーん、これ見て」


 着替え終わるなり、颯汰は何やら袋から取り出した物を蒼空に見せてきた。


「え、何?弁当?買ってくれたの?」


「最近さあ、会社の前にキッチンカーが来てるんだよ。この前試しに買ってみたら美味かったから。ほら、蒼空の大好きなハンバーグ。俺は、唐揚げー」


 そう言って、まるで子供みたいにニコニコしながら弁当を差し出してくる。


(弁当買ってくるなら先に言っといてほしかったんだけどなあ……)


 内心そう思ったが、突然買ってくればきっと蒼空が喜ぶと思ったんだろう。


 顔にそう書いてあった。


(ホント、分かりやすいなあ)


 蒼空は思わず、くすっと笑いながら弁当を受け取った。


「ん?どした?」


「いや、何も。ありがと。ハンバーグすごい楽しみ」


「そっかあ、良かった」


 颯汰があまりに嬉しそうな顔をするので、見ている蒼空も何だか嬉しい気持ちになった。


「じゃあ、味噌汁だけ作ろうかな?」


「うん。俺も何か手伝お……」


「いい」


「はやっ!」


 以前手伝ってもらった時に、手を切るわ火傷をするわで余計な心配と仕事が増えてしまった。


 それ以来、蒼空は絶対に手伝わせないと決めている。


 見た目は何でも完璧に出来そうなのに不器用な所もあるのだ。


「また怪我されたら困るからね」


「……分かった。じゃあ、先に風呂でも洗ってくる」


「うん、そうして」


 蒼空も部屋に干してあった部屋着に着替えると、鍋に火をかけ味噌汁の準備に取り掛かった。

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