第12話 許嫁

剣術の修行が始まってから2年が経った。


もはやアレクはボルトに打ち合えるだけの実力が身につき、魔獣に囲われても魔法と剣で薙ぎ倒すほどの力を身につけた。


アレクの年を考えれば成長速度は異常だった。それもそのはず、王子としてはあり得ない過酷な訓練を日々送っていたのだ。


ポーションのおかげで大きな怪我で苦しむ事もなく、毎日着実に鍛えられていった。


アレクが11歳になる頃、


また父王から呼び出された。


さすがに2年前に呼び出された時の事を思い出して、また何かやらされるのではないかと心配になりながら深い溜息をついて王の執務室に向かった。


「入れ」


こんどはすぐに案内されたアレクは父のもとに近づいた。


「アレクよ!よく毎日の厳しい鍛錬に耐えた!魔法といい、剣術といいボルトからも成長の様子を聞いている。本当に頑張ったな!」


父上からその言葉を聞いたときにアレクの目から涙が零れ落ちた。


う、うぅぅぅ!


アレクはいきなり父に褒められて思わず泣き崩れた。


本当に苦しかった。


しかし、訓練に耐えた甲斐があった。

父上に認めて貰えたことが何よりの褒美だっ。


父王も嬉しそうに微笑んだ。


「そうそう、アレク。お前に許嫁が出来たぞ!今度お茶会の時に紹介する。しっかりと対応するようにな」


父上はニッとしながら言った。


「はっ?い、許嫁です、か?」


「うむ、お前ももうすぐ12になる。学園に行く前に許嫁を決めておくのが王族のしきたりでな。何人かの候補はあったが、今回は1人だけ熱心な娘がおってな。両家にとっても良い話だったので受けておいたぞ!」


どうだ!喜べ!と言わんばかりの笑顔で父上がサムズアップする。そういえば私の頃はと急に自分の昔話をし始めた。


お、俺に許嫁!?


アレクは転生後初めての衝撃に狼狽えた。

前世は異性との交際経験ゼロ。

今世初めての経験であり、生まれて10数年ガチの強化トレーニング漬けになっていたアレクにはある意味、剣術トレーニングの時よりも衝撃的なニュースだった。


どんな娘だろう。


アレクはまだ見ぬ娘に対し、要らぬ期待を抱いてはいけないと思いながらも内心は期待していたのだった。

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