-19- 決着

中間テストの結果は、思ったよりもいいものだった。

図書室で自習も頑張ったし、授業も集中して聞くことができた。勉強の成績は、その時の精神状態も映しているなと感じた。


そして、テスト後の試験休みに、久しぶりに真夏は、昌彦と会った。

2人が会ったのは、真夏の家の近くのチェーンの喫茶店だった。


「そっか、フラれちゃったんだね。」

「はい。…私は、先生に対して、不誠実でした。自分の都合で連絡しなくなったり、好きな人にフラれたからまた会おうとか。でも、私の中で、全部終わったんです。青春が。」

「加藤さんは、これからどうしていきたい?」

「私は、先生のことが好きです。恋愛という言葉では片付けられないけど、先生のことを、家族みたいに思っています。本当の家族だったらいいなって、いうくらいに。」

「うん。」

昌彦の笑顔が、真夏の心の傷に沁みた。私は、恋愛をすることは、もうないのかもしれない。

「先生、私と、『家族』として、付き合ってください。」

「面白いことを言うね。こちらこそ、これから、よろしくお願いします。」


(私は、先生に対して、ものすごく失礼なことをしている。でも、受け入れてもらえた。だから、この関係を、大切にしよう。)

と、真夏は思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る