-13- 真実

「加藤さんに、僕の気持ちをきちんと伝えられていなかったね。それで、加藤さんを社会的にも傷付けるようなことになって、本当に申し訳ないと思っている。ごめんなさい。」

「…。」

「僕は、加藤さんのことが、好きだよ。でも、それが女性として好きなのか、生徒として大事に思っているのかは、僕の中でも分かっていないんだ。だから、余計なことを加藤さんに話して加藤さんを混乱させたくなかった。でも、それで、余計に加藤さんを混乱させてしまったんだね。

僕は、どのような形でも、加藤さんと、これからも仲良くさせてもらいたい。でも、それは加藤さんが決めることだよ。」

「私も、同じようなことを考えていました。」

「加藤さんには、今、好きな人とかいないの?」

「実は、いるんです。好きな、人。」

「今、告白する前にフラれた気分だよ。でも、それで関係性がハッキリしたから、よかった。これからも、歳の離れた友達として、仲良くしてくれるかな。」

「もちろんです。これからも、よろしくお願いします。」

「僕からは、学校に連絡しておくね。本当に、申し訳なかった。」

「おやすみなさい。」

「おやすみ。」

通話が切れて、真夏は、へなへなと床に座り込んだ。

大星のことを、昌彦に話してしまった。でも、昌彦は、これからも真夏と親しくしてくれるといってくれた。なぜ、最初から、もっと信頼出来なかったんだろう。でも、それと同時に、真夏は、もし相手が昌彦でなかったら、とんでもなく恐ろしいことに巻き込まれていたかもしれないと、恐怖心でいっぱいだった。

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